B2Cマーケティングのエキスパートが説く
顧客データを
市場競争力の強化に生かす方策
提供:トレジャーデータ
トレジャーデータ株式会社
Executive Fellow
早稲田大学 大学院経営管理研究科
非常勤講師
石井 龍夫 氏
トレジャーデータ株式会社
Senior Product Marketing Manager
前田 恵 氏
今日、B2C(消費者向け)ビジネスを展開する日本企業の多くが、顧客との結びつきを強め、市場での競争力を強化すべく顧客データの活用に乗り出している。ただし、顧客データをマーケティングの強化や市場競争力の強化に生かせている企業はそれほど多くない。その要因はどこにあり、課題解決の一手は何なのか。元花王デジタルマーケティングセンター長でB2Cマーケティングのエキスパートとして長年活躍し、現在はトレジャーデータでExecutive Fellowを務める石井龍夫氏と、顧客データ基盤「CDP(Customer Data Platform)」のサービスプロバイダー、トレジャーデータ Senior Product Marketing Managerの前田恵氏に話を聞く。
顧客理解の深化がコンシューマー
市場での生き残りのカギに
近年、人々の暮らしにインターネットが浸透し、生活者の多くが自身のニーズを満たす商品(製品、サービス)をオンライン上の情報を頼りに選び、購入するようになっている。また、オンライン上で体験したことや入手した情報が、それぞれの消費活動や企業のブランド、商品に対するロイヤリティーに大きな影響を与えている。
こうした生活者主体(顧客主体)の市場では、企業が売れると判断した商品が期待通りに売れなかったり、顧客の嗜好の変化によって売れ筋商品が急に変化したり、これまでのようなマスマーケティングが効力を発揮しないといった事態が頻繁に起こりうる。
「情報過多の現在では、生活者のライフスタイルや嗜好が多様化した結果として、これまでのような消費者調査に基づくマスマーケティングより、SNSでの生活者の口コミのほうが商品の売れ方を左右するといった事態がよく起きてきました。それが、プロダクトアウトのアプローチが通用しにくくなった近年におけるコンシューマー市場の現実です」と、石井龍夫氏は指摘する。
石井氏はこうした現実と対峙する中で、B2C企業が行うべき重要な項目として「データによる顧客理解の深化」を挙げる。
「顧客主体の市場で大切なことは、顧客のことを第一に考え、パーソナライズした良質な体験を提供し、ファン層を維持・拡大させることです。それには顧客データを有効に活用しながら、自社が向き合っている顧客のことを深く理解しなければなりません。また、その理解をベースに顧客それぞれにとって適切な顧客体験を適切なタイミングで適切な接点を通じて届けることが大切です」(石井氏)
さらに石井氏は、「海外のB2C企業やEC(電子商取引)の有力プラットフォーマーは膨大なデータから顧客を理解し、そのつながりを強めています。日本のB2C企業も過去の成功したビジネスモデルを捨てる覚悟を持って、顧客理解や顧客データの解析に基づいた新たなチャネル開拓や事業展開に力を注ぐ必要があります。場合によっては企業の組織・文化を変える必要が生じるかもしれませんが、そうしなければ今日のコンシューマー市場で勝ち残るのは難しいでしょう」と続ける。
トレジャーデータ株式会社
Executive Fellow
早稲田大学 大学院経営管理研究科
非常勤講師
石井 龍夫 氏
1980年花王に入社、販売部門でのエリアマーケティング責任者、事業部門でのブランドマネジメント業務に長年携わり、事業部門ではメリーズ・ロリエ・キッチンケア・ビオレなど花王の主要ブランドのブランドマネージャーを歴任。 2003年以降、web作成部長、花王クリエーティブハウス代表取締役社長を経て、デジタルマーケティングセンター長として、花王のデジタルマーケティング活動を統括。現在は、トレジャーデータを含む複数企業のアドバイザーを務めるほか、日本アドバタイザーズ協会のデジタルメディア専門委員、日本マーケティング協会のマーケティングマイスターや広告電通賞ブランドエクスペリエンス部門の審査委員長でもある。
高まる顧客データ活用と
CDPへのニーズ
コンシューマー市場が顧客主体へと変化する中、顧客データ活用の重要性に気づき、それに取り組み始めた日本企業は増えている。それに伴い、トレジャーデータの「Treasure Data CDP」に代表されるCDPへの需要も拡大している。
CDPは企業が保有する顧客データを収集・統合するためのデータ基盤だ。その重要性を、トレジャーデータ Senior Product Marketing Manager 前田恵氏はこう説明する。
「企業の顧客データは、営業、マーケティング、顧客サポートといった各部門に散在し、組織横断で共有されていないことが一般的です。しかし、顧客を真に理解するにはあらゆる角度から顧客の姿を捉える必要があり、それには、社内に散在するあらゆる顧客データを収集して、顧客IDを軸にしながら統合することが必須となります。そのための基盤として有効に機能するのがCDPです」
トレジャーデータ株式会社
Senior Product Marketing Manager
前田 恵 氏
大学院修了後、ウェザーニューズにSEとして入社。外資系ITベンダーなどを経て、2016年からセールスフォース・ドットコム(現:セールスフォース・ジャパン)にて海外ISVパートナーの日本進出支援モデルを構築し、新市場開拓に貢献。多角的な視点を基に、プロダクトマーケティングとしてマーケティング/コマース関連製品およびSlackの拡販に従事。2023年9月よりトレジャーデータ。
CDPは各社からさまざまな製品が提供されているが、その中でTreasure Data CDPはすでにB2Cの大手企業を含む国内外約400社に導入されている。「Treasure Data CDPはグローバル展開するB2C企業が持つ数千万の顧客レコードを高いパフォーマンスで扱えるほか、豊富に用意されているコネクタを通じて多様なシステムとのデータ連携が容易に図れるというアドバンテージがあります」と前田氏は強調する。
なぜCDPでなければならないのか
社内のデータを収集・統合する基盤としては「データウェアハウス(DWH)」が広く用いられている。しかし、顧客データを扱ううえでの利便性・操作性はCDPのほうが各段に高い。
「DWHは必要なデータを取り出すのに相応の技術知識やスキルが必要ですが、Treasure Data CDPのようなCDPは操作性に優れ、一般のビジネスパーソンでも必要なデータを活用することができます。それが、顧客データの活用に向けてDWHではなくCDPが選ばれてきた理由です」(前田氏)
また、石井氏はDWHやCRM(顧客関係管理システム)と比べたCDPの優位性について次のように述べる。
「CDPでは複数チャネルでの顧客の行動を時系列でつなぎ、トレンドとして管理できます。そのトレンドと顧客の現在の行動データを組み合わせて分析することで顧客の次のアクションを予測、つまり未来を予測することも可能になります。一方のDWHやCRMでは顧客との過去の関係性は把握できますが、今、何が起きているのか、これからどうなるのかを知ることは困難です。そのため私は、DWHやCRMを『過去を管理するためのデータ基盤』と呼び、CDPは『未来を管理するためのデータ基盤』と呼んでいます」
さらに、トレジャーデータでは次世代型の新たなCDPとして「Treasure Data Real-Time CDP」を提供している。これは、顧客がWebサイトを閲覧した、店舗を訪問したというような「瞬間」を捉えたデータをCDPに反映させられる製品だ。
「Treasure Data Real-Time CDPの仕組みはすばらしく、これを使うことで顧客の行動や今の状態をリアルタイムに捉えながら、顧客が今まさに必要としている体験をECサイトやリテールメディア、店頭の販売員、顧客に提供したスマホアプリなどの接点を通じて提供することが可能になります。それは、CDPのあるべき姿と言えます」(石井氏)
顧客データの有効活用を
阻む障壁と課題解決の方策
もっとも、CDPはあくまでも基盤であり、それを導入したからといって自動的に顧客データの有効活用が実現されるわけではない。実際、CDPのようなデータ基盤を導入したものの顧客データの有効活用がなかなか図れず、市場競争力の向上といった大きな成果を上げられずにいる企業は少なからずある。
その要因について石井氏は、「顧客データ活用に向けた基盤づくりで起こりがちな間違いは、最高の顧客体験を提供するためには何が課題で、解決のためにはどのようなデータを読み解くことが必要なのか、どう活用すべきかのビジョンがないままいたずらに大量のデータを収集し、基盤に放り込もうとすることです。こうして集めた無駄に大きなデータを分析したところで何も見つかりません。まずは、どのような体験をどの接点を通じて、どのように提供すべきかの構想を固めるのがスタート地点です。そこから始めなければ顧客データの有効活用はできません」と指摘する。
前田氏はCDPを使った顧客データ活用をスモールスタートで始めて段階的に顧客データ活用を成熟させていくことを勧める。
「トレジャーデータでは現在、顧客データをあらゆる意思決定と業務に組み入れ、ビジネス競争力を高めることを最終的な目標として定め、その達成に向けてCDP活用の幅や顧客データ活用のレベルを段階的に引き上げていく顧客データ活用の『成熟度モデル』を打ち出しています。このモデルを使うことで、自社において顧客データをどれだけ生かせているかを把握し、ビジネスゴールの達成に向けたCDP活用のロードマップを描くことができます。そのロードマップに沿ったかたちで顧客データの整備や活用のスキルアップを図りながら、少しずつビジネス目標の達成へと近づいていくことが、顧客データ活用で成果を上げるために重要だと考えます」(前田氏)
この言葉を受け、石井氏は顧客データの全社的な活用を推し進めることの意義について次のように指摘し、話を締めくくる。
「顧客理解に基づく顧客体験の良質化は、マーケティング部門のみならず、営業や顧客サポート部門も取り組むべきテーマです。また、顧客データの分析結果を全社で共有し、すべての従業員に自社と顧客との関係や『自社の顧客が自分たちをどう見ているか』を知ってもらうことは、顧客に対して自分たちは何をすべきかの認識の全社的な共通化につながります。これは、自社のブランドと顧客との関係の維持・強化を図るうえでとても大切な取り組みであり、企業の経営課題としてぜひ実践していただきたいと願っています」(石井氏) ※著作・制作 日本経済新聞社(2024年日経電子版広告特集)。記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。
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