より統合されたマーケティングのために
顧客インサイトを活用するには?
情報化の時代から体験の時代へ。ブランドの顧客体験 (および満足度) が、製品そのものに匹敵する競争優位性をもたらす昨今、企業は入念に用意された対話を通じて、顧客のパーセプションを形成するための戦略の設計と遂行を何より優先させなくてはなりません。そのためには、顧客インサイトへの到達が不可欠です。より統合されたマーケティングアプローチを構築するために、顧客インサイトをどのように到達し、活用できるかをご紹介します。
より統合されたマーケティングのために顧客インサイトを活用するには?
まずは「顧客体験とは?」の問いから始めましょう。
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)は、オンライン・オフラインを問わず、お客様が企業とやりとりするあらゆるコミュニケーション全体を通じて、そのビジネスとブランドについて感じる価値・体験、と広く定義できます。
「体験」は、顧客がブランドという存在との継続的な会話からもらたされます。顧客はブランドを一つの存在として見ています。カスタマーサービスが優れていても、EC購入後のチェックアウトのプロセスが面倒であっても、その理由は全て一つの存在であるブランドにあると、顧客は考えるでしょう。企業はあらゆるチャネルやタッチポイントにおいて、一貫して顧客にとってポジティブな体験を提供するよう努めなければなりません。
顧客インサイトとは、消費者の隠れた心理であり、選択と行動の背後にある動機です。膨大なデータから、顧客がとった行動は事実として把握できますが、その理由と背景を理解するには、顧客インサイトへの到達が重要です。
それは、決して不可能なことではありません。顧客インサイトに到達することで、一人ひとりの顧客、さらには幅広いオーディエンスに対しても、顧客体験を最適化することができるのです。
顧客インサイトがブランドに何をもたらすか
- 顧客の行動やふるまい・考えや感情の把握
- 製品に対する適合性の予測
- 消費者の期待を予測
- ペインポイントの特定と対処
- ロイヤルティ構築と解約抑止
顧客インサイトがなければ、顧客体験向上のための戦略は勘と経験に頼るほかなく、過去の成功体験に依存することになってしまいます。顧客インサイトの欠如は、自社のビジネスの主張を繰り返すことになり、消費者中心主義は損なわれるでしょう。顧客対応チームと連携して、顧客のニーズに応えることでロイヤルティを育む姿勢とは正反対の立ち位置です。
顧客インサイトが適応される先
カスタマージャーニーを構成する顧客接点は、デジタル化の加速によりますます増加しています。顧客インサイトは、その中でも特に重要なポイントで活用することは、顧客にポジティブなジャーニーを提供するのに役立ちます。
マーケティングコミュニケーション
エンゲージメント: 一人ひとりのカスタマージャーニーを、そのスタート時点から最適化します。多くのジャーニーの分析から得た顧客インサイトを用いたオーディエンスのセグメンテーションにより、マーケターは見込み顧客の興味関心を高めてもらうために、適切なメッセージや広告をを選択することができます。
タッチポイント: 効果的なタッチポイント(顧客接点)を把握することで、マーケターはリソースを賢く配分することができます。顧客インサイトは、個人レベルだけでなく、オーディエンスセグメントに対する戦略の調整にも役立ちます。
タイミング: タイミングには、顧客との関係を一変させる力があります。顧客インサイトがなければ、ブランドはエンゲージメントの高い顧客へのアプローチの機会を逃してしまう危険性があります。例えば、購買意欲の高い顧客に対し、1週間のうちで最適な時間帯を判断し、タイミングよくメッセージを発信すれば、さらにその意欲を高めることができるでしょう。
サポート
コンタクトセンター やカスタマーサポートにおける顧客体験は、顧客にとって印象深いものとなります。例えば、抱えるトラブルが自己解決できなかった場合に、コンタクトセンターに電話をするといったことは誰しも経験があるのではないでしょうか。コンタクトセンター は解約を未然に防ぐ、ブランドエンゲージメントを高めることができるタッチポイントであり、顧客体験上、特に重要な接点といえます。顧客は、自分のニーズやペインを理解し、それに応えてくれるサポート担当者と出会うことで、リピート購入などロイヤリティにつながる行動で応えてくれる可能性が高いのです。
サポート担当者は、過去のやりとりに基づいたオーディエンスレベルの顧客インサイトをコミュニケーションに活用することで、一人ひとりの顧客にポジティブな体験を提供できます。また、過去の傾向や行動パターンからインサイトを得て、購入時点に遡って顧客のニーズを予測することができます。
例えば、家電の最新モデルを購入したお客様が、サポートに電話してセットアップについて質問したとします。サポート担当者は、問い合わせに答えた後、通常の付属品ではなく、低価格の保証期間の延長を提案するとします。このシナリオは、新しい家電への投資に不安を感じている初回購入者が、真新しいアドオンよりも、長い購入保証を好むというオーディエンスレベルの顧客インサイトに基づいたものです。顧客インサイトはカスタマーサポートが提供できる価値をさらに高めます。
ペインポイント
一人ひとりに完璧な体験を提供することは、どのブランドにとっても難しいことであるといえます。しかし、あらゆる手を尽くして、企業は重要なタッチポイントにおいて、可能な限り最高の体験を実現するべきです。カスタマージャーニーにおけるペインポイントを軽減するためにも、顧客インサイトが役に立ちます。
一般的なペインポイントには、次のようなものがあります
購入後のチェックアウト: チェックアウト(顧客がEC等で商品購入を確定し、支払いを完了させること)における問題は、デジタルプラットフォームの普及とともに増加しています。ブランドは、支払い方法の制限、長すぎるチェックアウト、遅い読み込み時間など、ウェブやモバイルのチェックアウトプロセスの問題を診断するために顧客インサイトを活用することができます。
サポートの遅延: カスタマーサポートでは、社内のレポートと顧客の認識が一致することはほとんどありません。レスポンスタイムの遅さ、担当者の不在、一般的な問題を解決するための重複した手順やわかりにくい手順など、改善すべき領域を明らかにするために、顧客インサイトを活用することができます。
商品の配送: 顧客は、「購入」ボタンをクリックした瞬間から玄関先に届くまで、購入した商品の追跡ができる状態を望んでいます。ブランドは、顧客の満足度を向上し、配送オプション、配送時間、追跡サービスに関する問題点を顧客インサイトを用いて解決することができます。
データを顧客インサイトに変換するトレジャーデータ
MittoとDemand Metricの2021年版レポート「The State of Customer Experience」には次のような記載があります。
CDPはマーケティングプログラムを強化する
カスタマージャーニー上のあらゆる顧客タッチポイントから生み出される多種多様なデータを統合するCDPは、現代のマーケティングに欠かせないツールです。トレジャーデータが行った調査によれば、コンテンツマーケティングや対話型マーケティングを抑えて、企業が今最も必要だと考えるマーケティングテクノロジーです。
- オムニチャネルに対して適切な戦略を持つ企業は、顧客からの問い合わせにリアルタイムまたは1時間以内に対応する可能性が2倍高い
- 4倍以上の確率で、「極めてロイヤルティの高い顧客」がいると回答
- 過去12ヶ月間の収益が高いと報告する可能性が3倍高い
- 顧客満足度の平均が高いと回答する傾向がある
これらの結果は、オムニチャネル戦略と優れた顧客体験との間に明確な相関関係があることを示しています。ブランドは、すべてのチャネルとタッチポイントにおいて、一貫したメッセージと統合されたマーケティングアプローチが求められます。
トレジャーデータのようなCDPは、これを実現するツールをブランドに提供します。Treasure Data CDPは、名寄せ処理、有益な顧客インサイトへの到達、インサイトをもとにしたジャーニーオーケストレーションにより、体験が重視される時代において、ブランドの存在感を高めます。
名寄せ処理
トレジャーデータが提供するCDPは、オンライン・オフラインの多種多様なデータソースから顧客情報を収集・つなぎ合わせて、顧客一人ひとりを特定し、統合されたカスタマービューを生成します。統一されたプロファイルは、マーケティング、セールス、およびサポートチームにとって、真の顧客像を理解するためのデータ基盤となります。
Treasure Data CDPは、以下のようなパワフルな機能を有します。
- 無制限のクラウドストレージ容量
- 170以上のコネクタによる柔軟なデータ収集
- 1秒間に200万件を超えるレコードの収集
- 1カ月あたり400億件を超えるプロファイルを有効化
- Profiles APIを使用したリアルタイムでの顧客体験最適化
これらは、ブランドが一貫した顧客体験を提供するのに欠かせない機能です。
有益な顧客インサイトへの到達
Treasure Data CDPは、機械学習を用いて、顧客とその行動をより深く理解することができます。予測スコアリングにより、以下のような顧客を特定することができます。
- 購入可能性が高い顧客
- 解約しそうな顧客
- オファーに反応する可能性が高い顧客
- コンバージョンに至る可能性が高い顧客
さらに、マルチタッチアトリビューションモデルを採用し、どのマーケティングチャネルがカスタマージャーニー上で最も貢献しているかを判断します。同様に、ネガティブな顧客体験を生んでいるチャネルの特定にも役立ちます。
ジャーニーオーケストレーション
トレジャーデータは、ブランドのオムニチャネル戦略と有益な顧客インサイトを重ね合わせ、より統合されたマーケティングアプローチを実現します。
Treasure Data Journey Orchestrationを活用することで、マーケターは以下のことが可能になります。
- 顧客インサイトに基づくチャネルの最適化
- Webサイトの訪問、コンタクトセンターでの電話対応、電子メールへの応答など、チャネルを横断するコミュニケーションと顧客インサイトを接続
- 顧客インサイトを利用して、すべてのタッチポイント(Web、オンライン、モバイルなど)に対して動的に情報を受け渡し、継続的に一貫性かつ関連性の高い会話を実現
- 顧客の購買段階、活動、使用チャネルに基づいたオムニチャネルのキャンペーンを編成
上記により、顧客中心のマーケティング戦略が実現します。顧客と関連性のないマーケティング活動で構成された、人工的なファネルに見込み顧客を押し込むのではなく、個人のこれまでの意思決定と好みに合わせて構築された顧客体験を実現します。
トレジャーデータは、ネクストベストアクション(Next-Best Action)レコメンデーションによって、カスタマージャーニーをさらに進化させます。ネクストベストアクションは、決定論的モデルと確率論的モデルに基づいており、好ましい顧客の反応を引き出す可能性が最も高いアクションを提案します。このモデルは、顧客インサイトをマーケティング、サービス、営業チームにリアルタイムで連携し、最良の結果をもたらします。
カスタマーエクスペリエンスインサイトの活性化
トレジャーデータは、顧客体験に関する戦略を成功に導く、実用的なインサイトをブランドに提供します。AIと機械学習機能により、個人およびセグメントのレベルで、カスタマージャーニーをパーソナライズするための深いインサイトを提供します。Treasure Data CDPを利用することで、データのインサイトを迅速に可視化し、重要なトレンドに対応することで、最大の効果を得ることができます。