Digital Engagement Award
デジタルエンゲージメントアワード株式会社三井住友銀行
この事例のポイント
●「Treasure Data CDP」を活用し、顧客データを基に最適なタイミングで適切なメッセージを送ることで、顧客エンゲージメントが向上
●「Treasure Data Journey Orchestration」機能を活用し、顧客のライフサイクルを通じた一貫したマーケティング施策が可能に
●継続的なデータ分析と顧客起点のマーケティング施策を通じて、コンバージョン率が向上
顧客理解の深化とロイヤルティ向上に向け分散されていた顧客データを統合
日本を代表する金融機関の1つである三井住友銀行。同行では金融サービスのデジタル化を積極的に推進している。2013年2月にスマートフォン向け銀行取引アプリ「三井住友銀行アプリ」の提供を開始して以降、サービス向上に努め、同アプリのダウンロード数は1,500万件を超えた。これ以外にも新たなアプリを次々とリリースしている。
その利用促進や顧客エンゲージメントの向上を図るのが、リテールIT戦略部 デジタルマーケティング企画グループである。
同行は、デジタルマーケティング活動の効率化を目的に、2019年にTreasure Data CDPを導入した。デジタルマーケティングの実務を担う同行の牧野 弘和氏は、その理由を次のように振り返る。
「三井住友銀行アプリの提供以降も、SMBCグループ間やグループの枠を超えた共創を促進し、様々なアプリやサービスを提供してきましたが、エンゲージメントの向上には、課題を把握して改善するPDCAサイクルを回していくことが重要です。そのためにはデータ分析が欠かせません。しかし、従来はWebやメールなどチャネルごとにデータを収集し、配信シナリオの修正や設定も担当者による人的作業。この負担軽減と業務効率化が一番の狙いでした」
配信設計の改善とカスタマージャーニーの実現に向けTreasure Data Journey Orchestrationを採用
Treasure Data CDPを用いてデータの収集、統合、そして分析の基盤を構築するだけでなく、顧客のセグメント化やマーケティング施策にも積極的に活用されている。これによってアナログな作業の自動化は進んだ。しかし顧客起点のデジタルマーケティングを推進するためには、もう一歩踏み込んだ対策が必要だった。というのも、サービス間の連携が乏しかったからだ。
「アプリの紹介や新機能のリリース、使い方案内、利用に応じて付与されるポイントサービス案内などのメッセージを発信していますが、サービスごとの施策に閉じていました。お客様からすれば、三井住友銀行から同じようなメッセージが何度も送られてくるため、不快感や不信感につながりかねません」と牧野氏は説明する。
メッセージの配信シナリオはTreasure Data CDPを使い、SQLで作成・修正していたが、その数は100本以上もある。「配信タイミングの調整などメンテナンス業務は私を含め、数名が各サービスの担当者をサポートしていましたが、それだけで手一杯。データの分析や新しい施策にチャレンジすることが難しい状況でした。SQLを扱える人材も限られていたため、作業も属人化しがちでした」と牧野氏は振り返る。
このような課題の軽減を目的に採用したのが、Treasure Data Journey Orchestration機能である。「配信シナリオの作成・修正をSQLのコーディングなしに、直感的なGUIで行える点が魅力でした」(牧野氏)。
これに加え、もう1つ重要な理由がある。同行では、顧客のライフサイクルを通じて一貫したマーケティング戦略を展開し、顧客体験の最適化を目指していたからだ。「採用に先立ち、PoCを実施したところ、その有用性も確認できました」と同行の長嶋 優氏は評価する。
Journey Orchestrationの導入時期は、「Olive(オリーブ)」を含めた各サービスの施策高度化を進めていた時期でもあったため、最初の取り組みとしてOliveをテーマにした施策を実施した。
「新しいサービスのご案内に際し、潜在的なニーズのあるお客様にいかに効果的にリーチするか。この取り組みにJourney Orchestrationを活用しました」と長嶋氏は語る。
様々な施策のチャレンジが容易にコンバージョン率も上昇傾向
まだ取り組みは始まったばかりだが、既に具体的な効果も上がりつつあるという。
「配信シナリオの作成・修正をGUIベースで行えるため、顧客セグメンテーションやレスポンスによってコンテンツを出し分けたり、配信タイミングを週次から日次に変えたりと、配信シナリオを自在に作成・修正できます。シナリオを設定すれば、配信処理も自動化が可能です。様々な角度からチャレンジしやすくなりました。業務効率化に加え、業務の幅も広がりましたね」と牧野氏はメリットを述べる。
施策運営面では、顧客起点の設計と配信頻度のバランスを取りながら運用するルールも策定した。「まず試験的な施策を実施し、お客様の反応が良かったケースのみ、正式の自動化シナリオとして設定するというルールを徹底しています」と長嶋氏は話す。
現在は様々なデータを蓄積している段階だが、確かな手応えを感じているという。「いろいろなパターンでコンテンツを変えたり、配信タイミングを工夫することで、コンバージョン率は上がってきています」(長嶋氏)
Journey Orchestrationの活用においては、トレジャーデータのサポートも大きな力になった。「製品機能の使い方はもちろん、データの持ち方や統合の仕方などきめ細かにサポートしてくれました。このサポートによって、製品の理解が深まり、十分に使いこなせるようになりました。また、取り組みによってJourney Orchestrationの行内認知が広がり、利用者が増えたこともデジタルマーケティングの高度化につながっています」と牧野氏は振り返る。
Journey Orchestrationの活用によって、予想外の効果も実感しているという。長嶋氏は次のように打ち明ける。
「配信シナリオの作成がGUI化されたことで、SQLスキルの有無に関わらず、チームメンバーがスムーズに会話できるようになったのです。例えば施策を検討している際に、自然と人が集まってきて、意見を交わすようになった。皆が参加することで、発想や着眼点が広がる。これはうれしい誤算です。メンバーのモチベーションが高まっています」
牧野氏も「SQLのメンテナンスではなく、新たな配信シナリオを考えることへ業務の幅が広がった。モチベーション高く取り組めている」と述べている。
データドリブンな活動にシフトし成功モデルは横展開していく
今後はシナリオ配信結果を分析し、課題の抽出とインサイトの導出を図る。その結果を次の施策にフィードバック。成功例は他サービスのデジタルマーケティングにも横展開していく計画だ。
「今回の取り組みで、お客様にメッセージを届けるタイミングの重要性を再確認しました。同じメッセージでも、時間やシチュエーションで受け止め方も変わってくる。それをデータで裏付け、顧客セグメントをより精緻化したい」と牧野氏は前を向く。
そうした知見が蓄積されれば、同行のデジタルマーケティングはより高度化していくだろう。「データからインサイトを得られれば、潜在的な需要を掘り起こすなど、活用の可能性は広がるでしょう。今後も様々な施策にチャレンジしていきます」と長嶋氏は展望を語る。
三井住友銀行の取り組みは、金融業界の多方面からも高い注目を集めている。
さらなるパーソナライズ化したお客様体験を目指したい
三井住友銀行は、お客様一人ひとりのニーズに合った価値を提供するため、「Treasure Data CDP」を活用したデジタルマーケティングを推進し、継続したお客様のエンゲージメントの向上を目指します。
配信シナリオの成果創出に向け、共に歩んでいきます
三井住友銀行様はOliveやアプリを中心にお客様のエンゲージメント向上を目指し、デジタルマーケティングの高度化に取り組んでいます。配信シナリオ作成に携わる全てのメンバーが顧客起点を意識し、自身のアイディアを提案すること・活発に意見交換されていることに強く感心しました。各サービス担当のアイディアをデータで検証していくサイクルを短期間で実践されています。 このような活動に携われるのは、私たちとしても楽しみですし、非常にワクワクしています。大きなビジネスインパクトを創出すべく、これからも伴走させていただきたいと考えています。
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