
株式会社ベルシステム24ホールディングス
Future Insight Awardを受賞したのは、コンタクトセンター大手の株式会社ベルシステム24(以下、ベルシステム24)だ。Treasure Data CDPの機械学習機能を活用し、オペレーター向けのトークスクリプトをダイナミックに最適化する仕組みを実現した。画一的なマニュアルを超えた柔軟な提案が可能になり、セールスの獲得率(営業の成約率)が大幅に向上。オペレーターの育成期間と定着率も劇的に変化した。コンタクトセンター業界に新風を吹き込む革新的な取り組みだといえるだろう。同社のキーパーソンに、こうした取り組みの狙いと具体的な効果、今後の展望などを聞いた。

オペレーターのトークスキルをテクノロジーで平準化し 顧客企業の「攻め」事業をサポートしたい
この事例のポイント
「Treasure Data CDP」の機械学習機能を利用し、顧客の声に基づいた最適なトークスクリプトをリアルタイムでオペレーターに提供
導入されたシステムにより、セールスの獲得率(営業の成約率)が70%に大幅向上
オペレーターの育成期間が3カ月から1週間に短縮され、定着率も向上
データを活用して顧客理解を深め「攻め」の提案で結果を出す
データを活用して顧客理解を深め「攻め」の提案で結果を出すコンタクトセンター事業を中心に、各種BPOや業務コンサルティングなどを展開するベルシステム24。主力のコンタクトセンター事業は国内に37拠点を有し、座席数は約2万席。登録するオペレーター数は国内約3万人、国内外のグループ会社全体を含めると約4万人。屈指の規模を誇る業界のリーディングカンパニーだ。BPOサービスを含めた契約クライアント社数は約1,300社にのぼる。
同社はコンタクトセンター業務におけるデータ活用を積極的に進めている。2024年3月には、活動を推進するデータマーケティング事業部も新たに立ち上げた。データ活用の狙いを同事業部長の永尾 啓一郎氏は次のように語る。

データを活用して顧客理解を深め「攻め」の提案で結果を出す
コンタクトセンター事業を中心に、各種BPOや業務コンサルティングなどを展開するベルシステム24。主力のコンタクトセンター事業は国内に37拠点を有し、座席数は約2万席。登録するオペレーター数は国内約3万人、国内外のグループ会社全体を含めると約4万人。屈指の規模を誇る業界のリーディングカンパニーだ。BPOサービスを含めた契約クライアント社数は約1,300社にのぼる。
同社はコンタクトセンター業務におけるデータ活用を積極的に進めている。2024年3月には、活動を推進するデータマーケティング事業部も新たに立ち上げた。データ活用の狙いを同事業部長の永尾 啓一郎氏は次のように語る。
「コンタクトセンターはクライアント企業の委託を受けて、商品やサービスを提案・販売するセールス事業、クレームや各種問い合わせ対応を行うカスタマーサポートなどを展開しています。ポジティブなものもネガティブなものも含め、お客様の声の中には貴重なインサイトがある。そのデータを分析し、クライアント企業が保有する顧客、購買、営業、マーケティングなどの様々なデータと連携できることで、よりお客様のニーズや行動が鮮明になり、深く理解することで、電話の向こうのお客様への『攻め』の提案に活かしたいと考えていました」
このデータ分析と可視化のソリューションに活用したのが、Treasure Data CDPの機械学習機能だ。
「お客様の声に基づいて、次にどんな問い掛けや提案をしたらいいか。最適なトークスクリプトをオペレーターのPC画面上に表示します。会話の中からお客様が何を求めているかを導き出し、トークスクリプトがダイナミックに変わっていくのです。マニュアルを読み上げるだけの提案ではなく、お客様に寄り添った提案で、エンゲージメントの向上につなげます」と同事業でCXプランニング&コンサルティングサービスGのマネージャーを務める池本 弘幸氏は説明する。
ハイパフォーマーが体得したスキルをデータで分析・可視化する
攻めの提案にはマニュアル偏重の業務を見直すことも必要だった。「マニュアルに縛られると、画一的な提案しかできず、相手の心に響かないのです」と永尾氏は話す。ところが同じマニュアルを使っても、高い獲得率を叩き出すハイパフォーマーといわれる人材がいる。獲得率が伸び悩む新人やローパフォーマーとは何が違うのか。
「決定的な違いは『質問できるかどうか』です。マニュアルに沿いつつ、『こんなことでお困りではありませんか』というように話をつなぎ、お客様が何を求めているかに迫っていく。ハイパフォーマーにはそういうスキルがあるのです。その“秘伝のタレ”をデータで分析し、可視化することで、新人やローパフォーマーのトークスキルの底上げが可能になります」と永尾氏は語る。

攻めの提案にはマニュアル偏重の業務を見直すことも必要だった。「マニュアルに縛られると、画一的な提案しかできず、相手の心に響かないのです」と永尾氏は話す。
ところが同じマニュアルを使っても、高い獲得率を叩き出すハイパフォーマーといわれる人材がいる。獲得率が伸び悩む新人やローパフォーマーとは何が違うのか。
「決定的な違いは『質問できるかどうか』です。マニュアルに沿いつつ、『こんなことでお困りではありませんか』というように話をつなぎ、お客様が何を求めているかに迫っていく。ハイパフォーマーにはそういうスキルがあるのです。その“秘伝のタレ”をデータで分析し、可視化することで、新人やローパフォーマーのトークスキルの底上げが可能になります」と永尾氏は語る。
同社は以前から顧客の対応履歴や問い合わせ内容を記録していたが、データはコンタクトセンターを利用した一部の顧客に限られる。「どういう属性のお客様が、どんな理由でコンタクトセンターにアクセスしてきたのか。こちらの提案に耳を傾けてくれるお客様と、そうでないお客様の違いは何か。入電や架電以前の情報を多く持ち合わせていないため、その要因を理解することが困難だったのです。お客様の解像度を上げ、ペルソナを深く理解するためには、クライアント企業のシステムやデータともつながる仕組みが必要でした」と永尾氏は従来の課題を述べる。
その実現手段を模索している時、クライアント企業の1社から紹介されたのが、Treasure Data CDPだ。「トレジャーデータのソリューションはデジタルマーケティング領域で広く利用され、国内トップシェア。トライアルを通じて、機械学習機能を使えば、私たちが目指していることを実現できることが分かったため、導入を決めました」と池本氏は選定の理由を述べる。
トレジャーデータの支援を受け内製開発でシステムを構築
同社が実現した仕組みとは、具体的にどのようなものか。顧客とつながると、属性や想定される悩みなどが表示される。次にそのキーワードをチェックすると、最適なトークスクリプトが表示される。これはハイパフォーマーのトークスキルを反映したものだ。オペレーターはそれを選んでトークを展開していく。その中で出てきたキーワードを選んでいけば、その後の商談につながるトークスクリプトに切り替わる。マニュアル頼りの画一的な提案ではできなかったことが、容易にできるようになるわけだ。また、成功事例がよりスクリプトの精度を上げていくという好循環を実現している。システムは社内メンバーで組成した開発チームが内製開発した。「スクリプトのどの部分を、どうつなげれば最適な提案になるか、どうすればオペレーターのストレスを軽減できるかなど、試行錯誤の連続でしたが、常に現場と並走し、現場に近い開発メンバーならではの発想で開発できた仕組みであると考えています。そして、トレジャーデータ様の支援とサポートが開発精度を支えてくださり、非常に役立ちました」と永尾氏は続ける。
開発期間には約1年半を要した。「その間、トレジャーデータの担当者は、定期的に会議に出席してくれました。有意義な提案を数多くいただき、非常に参考になりました。互いのコミュニケーションにはSlackも活用し、分からないことにも即答してもらえたので、心強かったですね。親身な対応には本当に感謝しています」と池本氏は語る。
データを活用し、コンタクトセンターをより進化させていく
名誉ある賞を頂き大変光栄に思います。当社では顧客の生の声を分析し、最適な会話、サポート運用を実現しています。今後も、顧客の声を起点にデータ活用、サービス開発を続けていきます。(写真左から 事業開発本部データマーケティング事業部 CXプランニング&コンサルティングサービス G マネージャー 池本 弘幸氏/専務執行役員 第2管掌 兼 事業開発管掌 松永 公人氏/事業開発本部データマーケティング事業部 事業部長 永尾 啓一郎氏)

データによる顧客対応の高度化を共に探求していく
ベルシステム24様は自社のクライアントの先にいるお客様を強く意識し、より良い対応を実現するためのデータ活用を推進しています。これが最も重要な成功要因です。コンタクトセンターへのTreasure Data CDPの活用はあまり例がなく、私たちにとってもチャレンジングでしたが、ベルシステム24様の強い思いに応えるべく、支援させていただきました。コンタクトセンターにおけるデジタルマーケティングはWeb接客、ソーシャルリスニングなどその手法が多様化しています。今回のケースはTreasure Data CDPの新たな活用可能性を示す好例といえるでしょう。
データ活用を深化させたり、新たな領域への活用を模索したりするなど、次なるアイデアもたくさんお持ちです。今後もこの活動に寄り添い、力強く支援していきます。

今回のプロジェクトメンバー
