CDP導入のメリットとデメリット:企業の顧客データ活用を加速するための完全ガイド
ビジネスにおけるデータ活用の重要性が高まる昨今、ますます注目を集めるCDP。BtoCはもちろん、BtoBのマーケティング、営業での活用、業種は各種メーカーや小売、金融まで、あらゆるビジネスで導入が進んでいます。
CDPの有用性は先行事例で実証されていますが、導入にあたってはメリットとデメリットを理解し、ベンダーの選定にも細心の注意を払う必要があります。基礎知識のおさらいから活用、導入事例まで、CDP導入のポイントをまとめました。
CDPとは
CDPは、自社が持つ顧客データを収集・統合する基盤「カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)」を指します。組織の部門、チャネルを横断し、顧客データをひとつのデータベースに収集・保管、名寄せや分析、アクティベーションを行うツールです。米国のCDP協会(CDP Institute)は、次の3つの特徴でCDPを定義しています。
- “Packaged Software”:⼤規模なシステム開発を不要とし、誰もが活⽤できるパッケージ型ソフトウェア
- “Create a Persistent, Unified Customer Database”:各個⼈を特定して、様々なリソースにおけるその⼈の⾏動データを収集・統合
- “Accessible to Other Systems”:他のシステムへ流し込みことが可能なマーケティングソリューション
CDPが可能とするのは、最適化された広告配信、パーソナライズされたコミュニケーションといった、高度なマーケティング施策に代表されます。ただし、CDPは特定の用途に特化してはいません。マーケティングを起点とするデータ活用は、営業やカスタマーサポート、研究開発部門とも連動し、無限に広がる可能性を有します。
そのため、CDPの導入は企業におけるビジネスそのものを前進させる、全社的なプロジェクトとなりえます。※CDPでできることは、後述する「部門別CDPの活用例」をご覧ください。
CDPが求められる背景とその役割
CDPが求められる背景には、消費者のライフスタイルやニーズの多様化、オンライン/オフラインにまたがる複雑な購買行動があります。自動車を購入する顧客の行動を例として考えてみましょう。
- Webサイトで広告動画を視聴
- スマートフォンのアプリや価格ツールを利用
- Meta広告をクリック、さらにはプロモーションメールを閲覧
- Googleで車種、サイズ、特徴などを検索
- 在庫のあるディーラー店舗を訪問し試乗
このように、単一のチャネルから顧客を理解することは困難と言えます。マーケターはより「品質の高いデータ」に基づいたマーケティングを志向し、一人ひとりの顧客像の解像度を上げようとしています。
品質の高いデータとは、次の4つの特徴を備えています。
- 網羅性 – 顧客や潜在顧客を扱うすべての部門のデータがまとまっている
- 適時性 – データの転送は手動でコピー&ペーストするのではなく、リアルタイムで更新されている
- 関連性 – データは意図した用途に適している
- 信頼性 – 正確さと信頼性を確保するために、データは精査、検証され、充実している
エンタープライズ企業向けのCDPは、データの品質を高めるため、下記のように組織に散在するデータを統合します。そのうえで、デバイス・場所・時間を超えて、詳細な顧客理解を支援するのです。
- 店頭およびEコマースでの販売データ
- Web閲覧データ
- アンケートデータ
- カスタマーサービスのデータ
- 営業部門のデータ
- 広告データ
- MA(マーケティングオートメーション)データ
- ロイヤリティプログラムデータ
- レガシーデータ(ハードドライブや紙のファイルなどオフライン形式の古いデータ)
- ウェアラブルとIoTデータ
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【CDP構築検討の際におさえるべきポイント】
CDPと他のツールとの違い
CRM(顧客管理システム)との違い
CRMは、主にパイプライン管理のために有用なデータを保存する目的で構築されます。自社の顧客を育成し、顧客とのコミュニケーションを一元的に把握できます。
一方CDPは、CRMデータを他のデータソースとも組み合わせ、顧客像を包括的に可視化します。メール配信などCRMによる施策は、CDPを介することで高度化、自動化できます。
DMP(データ管理プラットフォーム、パブリックDMP)との違い
DMPは、匿名化されたデータを主に扱うツールです。保存期間が限られており、広告キャンペーンのターゲティングのため特別に使用されます。
CDPは、個人が特定されたデータを扱うことができます。データの保持期間は長期に渡り、ID解決機能と組み合わせてDMPデータを使用することで、マーケティング戦術の幅が大きく広がります。
MA(マーケティングオートメーション)との違い
MAはデジタルマーケティングツールのひとつで、あらかじめ設定した条件やシナリオに基づいて、主にメール施策を実行します。一般的に、使用できる顧客データの種類は限られており、多くは行動履歴や属性情報などをもとに、人が設計したルールに基づいてスコアリングが行われます。
対してCDPは、デジタルマーケティングツールを含むあらゆるデータを収集・統合・管理するデータプラットフォームです。MAをはじめ他のツールとのデータ連携や、高度なデータ統合・分析機能を備え、中にはAIや機械学習の機能を活用した予測スコアリングに対応するものもあります。
CDPは、データを統合して顧客理解を深めること、MAはその上で顧客へアクションをとることを目的としています。
DWH(データウェアハウス)との違い
データウェアハウスは、データの統合という点で、CDPと同様の機能を持っているように見えます。データウェアハウスは、ビジネスインテリジェンス(BI)がデータを処理するために統合しているのに対し、CDPは顧客データを統合して分析することを目的としています。
なお、一般的にCDPは、これらのデータソリューションすべてに機能を追加し、利用することができます。
CDP導入のメリット
CDPの導入には、顧客データの統合からはじまる多様な意義があります。次の5つは、代表的なメリットです。
顧客データを統合しカスタマージャーニーを可視化複雑なタッチポイントのデータを同一人物に紐づけ、ひとつのIDで管理することで、タッチポイントの垣根を越えて、ひとつなぎのカスタマージャーニーを可視化できます。
顧客行動を精緻に分析、より深いインサイトを導く統合されたデータ、導き出したカスタマージャーニーから、顧客像の解像度を高めることができます。
顧客一人ひとりに合ったマーケティングと体験の向上カスタマージャーニー等の分析結果にもとづき、顧客一人ひとりに合ったメッセージを送るといったきめ細かな対応ができるようになります。
部門を横断した情報共有、データ活用マーケティング、営業、カスタマーサポート、新商品・新サービス開発等、様々な部門での顧客データ活用を支援します。
高速なPDCAをセキュアな環境でCDPをCMPと統合することで、適切な同意を得た人やシステムを適切に管理し、セキュアな環境下で施策を実行できます。
顧客データを統合しカスタマージャーニーを可視化
カスタマージャーニーは、複雑さを増しています。企業と顧客のタッチポイントは、Web広告、ソーシャルメディア、Webサイト、レビューサイト、クーポンアプリ、検索、実店舗への訪問、オンラインでの購入と、多様化する一方です。
顧客は複数のチャネルを行き来して、企業と係わります。しかし、チャネルや部門ごとにデータが分断されると、ひとりの顧客のジャーニーとして理解できず、まるで別人の行動のように管理されてしまいます。
顧客データの統合とは、組織の中でバラバラになったデータを、一元的に管理することです。CDPは、複雑なタッチポイントのデータを同一人物に紐づけ、ひとつのIDで管理します。
実店舗に来店し購買した顧客が、その前にオンラインストアで何を買ったか。来店の前にオンライン上でどんなメディアと接触したか、最終的な来店や購買の動機になったのはどのメディアか。広告やメディア、オフライン/オンラインの垣根を越えて、ひとつなぎのカスタマージャーニーを可視化できるのは、CDPを導入する大きなメリットです。
顧客行動を精緻に分析、より深いインサイトを導く
CDPには、複雑なデータ処理プロセスを担うAIと機械学習の機能が搭載されています。統合されたデータ、導き出したカスタマージャーニーから、顧客のインサイトを特定します。例えば、CDPは次のようなことを可視化できます
- 最もLTVの高い顧客は誰か?
- LTVの高い顧客群に共通する特徴は何か?
- リピート購入し、ブランドのファンになる可能性が高いのは誰か?
- 直近で購入する可能性の高い顧客は誰か?
- さらに育成が必要な顧客は誰か?
- どのような顧客が解約しやすいか?
- クロスセル・アップセルの可能性があるのは誰か?
CDPで顧客データを分析するメリットは、顧客像の解像度を高められることです。ある企業では、購入の準備ができているか、自分に合う商品を探しているか、商品の購入を空想しているだけなのか、ときめ細かく顧客のインサイトを分析しています。
顧客一人ひとりに合ったマーケティングと体験の向上
カスタマージャーニーを理解することで、コンバージョンや購買などの目標に対して、どのチャネルが貢献したか、正確なアトリビューションモデルの作成が可能です。
例えば、特定の製品ページを訪れた人は、新製品の告知メールよりも、クーポンメールを開く可能性が高い、といったデータが把握できます。すると、顧客に応じて適切なメールを送信して、マーケティングの効率を上げることができるのです。
また、商品の配送が遅れている顧客には、通常のプロモーションではなく、状況をお知らせするフォローアップメールを送る、といったきめ細かな対応もやりやすくなります。チャネル、部門を横断した情報共有により、顧客が問い合わせ内容を繰り返し伝えないといけないという問題を解消するなど、顧客体験の向上につなげられるのも、CDP導入のメリットです。
CDPは上記にとどまらず、様々なユースケースが考えられる柔軟なツールです。CDPを活用してビジネスモデルを再定義したり、新しいビジネスモデルを構築したりするケースも見られます。
部門を横断した情報共有、データ活用
上記のようにCDPは、統合された顧客データをもとにカスタマージャーニーを可視化し、顧客を全方位で捉えることでインサイトを抽出、さらに顧客一人ひとりに最適なメッセージングや体験を提供します。その領域はマーケティングの最適化だけにとどまりません。
マーケティングでの活用
上記のとおり、CDPを活用することで、詳細なカスタマージャーニーの作成とインサイトの分析により、One to Oneのマーケティングが可能になります。
これまで分断していたマーケティング、営業、カスタマーサポートの連携を強化し、部門を横断、統一した顧客サービスを実現します。
詳しくは「部門別CDPの活用例」をご覧ください。
営業での活用
CDPは法人営業を高度化します。例えば、機械学習を活用し、Webサイトを訪問した顧客からの受注確度や離反確度を予測し、営業担当者に次の最適なアクションを提示するなど、オンラインとオフラインを融合させた高度な営業活動が可能になります。
詳しくは「部門別CDPの活用例」をご覧ください。
カスタマーサポートでの活用
顧客は、オンラインショップやFAQ、Eメールなどのコンテンツを閲覧し、カスタマーサポートにコンタクトします。CDPによって、オペレーターは顧客の状態を、リアルタイムで正しく把握することができます。
例えば、行動データから「Eメールで受け取ったオファーの情報をさらに詳しく知りたい」「商品をカートに入れたが在庫切れだった」といった顧客の課題を把握した上で、タイムリーでパーソナライズされた会話を行えるのです。
詳しくは「部門別CDPの活用例」をご覧ください。
新商品・新サービス開発での活用
CDPでカスタマージャーニーを可視化すると同時に、市場調査データを扱うことで、真の顧客ニーズを明らかにできます。詳細なターゲットが決まった状態で新商品・新サービスを提供するなど、データドリブンな研究開発が可能になるのです。
高速なPDCAをセキュアな環境で
優れたCDPを導入することで、データ活用は民主化されます。優れたCDPには、マーケターをはじめ、現場の各部門がデータを活用し、連携できるよう使いやすく直感的なユーザーインターフェースが設計されています。複雑な分析はデータサイエンティストの力が必要ですが、それはむしろ例外的なことです。MA、SFA、CRMなど各種ツール、システムと連携すれば、さまざまな分析が自動化されます。スピーディーに効率よく、施策の実行と検証、改善が可能です。
ただし、プライバシーとコンプライアンスを抜きに、顧客データの一元化はありえません。顧客の同意に基づくデータ活用は、信頼構築の上でも、企業の重要な課題です。
そのため、同意管理システム(CMP:コンセントマネジメントプラットフォーム)の導入も進んでいますが、CMP単体では同意を得た顧客データの保存場所、状態をトラックできません。CDPをCMPと統合することで、適切な同意を得た人やシステムを適切に管理し、セキュアな環境下で施策を実行できます。
CDP導入のデメリット
CDPによるデータの利活用は、ビジネスを推進する力がある一方、導入にあたっては懸念するべき事柄もあります。想定されるリスクも正しく理解しておく必要があります。
個人情報漏えいのリスク
顧客は企業との関わりの中で、より良い体験を求めていますが、プライバシーを犠牲にしてよいとは考えていません。社会的にも、個人情報保護に対する企業への要求は、年々高まっています。特にグローバルでビジネスを展開する場合、刻々と変化する国や地域の規制を先取りして、対応する必要があります。
立ち上げに時間がかかる
CDPは導入までに、工数と時間がかかると言われることがあります。後述する「CDP導入のステップ」のように、綿密な計画のもとに、順序立ててプロセスを踏む必要があるのは事実です。
一方、エンタープライズ企業向けのCDPには、効率的に導入できる必要なツールとリソースが用意されています。例えば、タッチポイントごとにバラバラに管理された顧客IDを統合する「名寄せ」は、手作業では非常に難しい大規模な作業です。優れたCDPでは、メールアドレスや電話番号といった識別子で自動的に統合する方法(決定論的マッチング)と、AIが複数の情報から統計的に可能性を推定する方法(確率的マッチング)を活用することで、手間のかかる作業を省略してIDを統合するものもあります。
使いこなせない可能性
CDPは、先進的なテクノロジーにより構築される高機能なツールです。米国のコンサルティング会社Advertiser Perceptionsの調査では、「インタビューした組織の半数以上が、実装の複雑さによる課題を経験した」と報告されています。
しかし、前述のとおりデータ活用を民主化することが、優れたCDPの条件でもあります。そのためには、ベンダーの手厚い支援が欠かせません。CDP導入のベストプラクティスに関する深い専門知識を持ち、業界や分野別のユースケースに対応するコンポーネント、人材育成のためのトレーニングプログラムなど、豊富なサポートを提供するベンダーを選択することをおすすめします。
CDP導入の10ステップ
CDPの導入にあたって、既存のシステムを置き換える必要はありません。他のマーケティングテクノロジーと連携させることが、真の力を活かすポイントです。
1.導入の目的と組織のKPIを明確にする
前述の通り、CDPはマーケターをサポートするだけでなく、営業チームに重要なインサイトや、カスタマーサポートが快適なコミュニケーションを提供するためのソースとなり、さらには製品戦略にも役立ちます。CDPの導入にあたっては、全社的な戦略、ビジネスプランと、各組織の戦術とKPIを理解することが重要です。
2.組織横断の導入チームを立ち上げる
CDPは、企業、組織が所有する多様なシステムからデータを収集して統合します。そのためCDPの導入にあたっては、部門や職種を超えたチームを作ることが重要です。関連するすべての部門からプロジェクトメンバーを募り、顧客データを一元化するためのアプローチを策定します。
チームのリーダーは、場合により相反する各部門の要望や利害を管理し、優先順位を決め、CDPの導入がスムーズに進むよう、ハンドリングする必要があります。CDO、CMO、CRO、CIOに相当する十分な権限を与えるべきです。
3.最初のユースケースを1〜2個定める
CDPの導入を成功させるには、たくさんのユースケースを理解し、そのなかから導入の目的に応じたものを見定めることが求められます。
まずはCDPがどのように機能するかを学ぶために、1つまたは2つの簡単なユースケースから始めることをおすすめします。あるいは、経営陣に成果を説明しやすい重要なユースケースを1つ選ぶのもよいでしょう。重要なのは、やりたいことをすべて実現しようとするのではなく、できることに絞って取り組むことです。
4.データソースのリストを作成する
組織の中にある顧客のデータソースを整理し、すべて可視化します。多くは各部門が適切に管理していますが、ときには古いシステムやハードドライブ、紙のファイルなど、想定外の場所に顧客情報が含まれている場合もあります。すべて、確実にリストアップしてください。
データソースの保存場所、データの項目、形式(構造化または非構造化)を含めて、データソースのリストを作成します。データ構造が変更される頻度も記録しておきましょう。なお、CDPにはローデータをそのままの形式で取り込めるものも、特定のタイプや構成に変換しなければならないものもあります。
5.タッチポイントの顧客データをマッピングする
顧客とのタッチポイントと、各チャネルで収集されるデータを可視化します。CDPに統合するべきデータを特定し、あらゆるチャネルから得られるデータをマッピングする必要があります。
6.組織を横断してデータの依存関係を特定する
例えば、マーケティングチームは、コンテンツ管理、Webサイト管理、Eメールマーケティング、広告、アカウントベーストマーケティングなど、活動ごとに担当するグループに分かれています。これらを横断して活動とデータの依存関係を確認することで、どのグループがどのデータに、どのように貢献しているかを把握できます。
7.セキュリティ要件を定義する
CDPには、企業が慎重に取り扱うべき、顧客の個人情報が保管されます。各部門のメンバーに対し、役割と権限を付与するセキュリティ要件を、明確に定義する必要があります。
8.ガバナンスおよびコンプライアンス要件を定義する
グローバル企業は、GDPR、CCPAなど、さまざまなコンプライアンス規制に対応する必要があります。顧客データの取得と保存、使用方法に関する要件は、地域の規制により異なるため、きめ細かなCDPの運用が求められます。
9.ユースケースの概念実証(PoC)を始める
3で定めたユースケースの実現性を検証していきます。優先度の高いユースケースを検証できない場合、CDPの導入は適切ではないと判断するべきです。
まずは、検証のために最も重要なデータソースを統合します(ユースケースが複雑な場合、そのうち1つを検証対象に定める)。ユースケースごとにKPIを一つ設定し、データ活用の実証をはじめます。
結果は組織全体に共有し、CDPによるデータ活用がもたらす価値について、経営層をはじめ全社的な理解が得られるようにすることが重要です。
10.講習、トレーニングの仕組みを整える
企業におけるデータ活用の課題は、ビジネスロジックとテクノロジーの双方に理解のある「π型人材」の育成であり、CDP導入の重要な成功要因です。導入後の全社的な運用に備えて、またCDPのメリットを理解してもらうために、各部門へのフォローアップも重要です。
CDP導入の注意点
CDPの具体的な検討に進む前に、特に注意するべき4つのポイントを押さえておきましょう。
本当にCDPが必要か?
「CDPの導入ステップ」でもお伝えしたように、「CDPで何を実現するのか」という目的を明確にするのが、すべてのはじまりです。
目的によってはCDPではなく、広告のターゲティングを向上させるDMPや、販売サイクルを通じて顧客を管理するCRMが、フィットしているかもしれません。
経営陣のサポートは得られるか?
CDPは本質的に組織横断的なプロジェクトを行うためのソリューションです。関連するすべて部門の理解、賛同、協力がなければ導入は前進せず、そのためには経営陣のサポートが必須です。
自社に合ったCDPとは何か?
目的に従って、求める要件を整理して、CDPを選択することが重要です。データソースとユースケースは、CDPが収集、保管、処理する必要のあるデータ量の目安となり、ビジネスに適したCDPのタイプを示す指標となります。
本当はエンタープライズ企業向けのソリューションが必要なのに、中小企業向け(SMB向け)ソリューションを選択してしまうのは、よくある落とし穴です。膨大な顧客データを管理する大手企業にとっては、CDPの拡張性が非常に重要な要素となりますが、拡張性に乏しいCDPも存在します。
トータルでROIを算出する
CDPは各種チャネル、情報テクノロジーのハブとなる存在のため、導入のROI算出が難しいと思われがちです。しかし、CDP導入により統合されたデータや高度な機械学習は、マーケティングをはじめとした各部門での施策を高度化、効率化します。さらに、幅広い部門で活用すればするほど、ROIが高くなり、トータルでみれば、採算が合うケースは少なくありません。CDP個別ではなく、全社でのROIを算出すべきです。
一度にすべてを解決しようとしない
一度にすべてのことをやろうとしても、うまくいくことはほとんどありません。CDPの導入は段階的に行うのがベストです。
まずは、実現したい最初のユースケースに集中し、その後、外部データを追加してプロファイルを充実させ、別のユースケースを追加していきます。期待通りにCDPが機能していることを確認しながら、じっくり取り組みを進めることが重要です。
CDPの選び方とは? 11のチェックポイント
市場ではさまざまなCDPが提供されており、その特徴や得意分野は異なります。自社に合ったCDPを選ぶため、次の11のチェックポイントを基に、社内の確認やベンダーとの交渉を進めてください。
どのようなデータソースと連携できるか?
Eメール、デジタル広告、プッシュ通知、アプリ、ダッシュボードツールなど、システム、チャネル、部署をまたいで散在するデータソースを統合することはできるか?既に使用していたり、今後使用したいアプリケーション、MA等と連携しているかを確認しましょう。
統合するデータやフォーマットに対して、柔軟性があるか?
目的を確実に実現することができるか?将来にわたって要求に応えるためには、複雑な分析とセグメンテーションに耐える柔軟性が必要です。柔軟なデータ統合、セグメンテーション、他ツールへのプロファイルの連携が可能かどうかを必ず確認しましょう。
デバイスをまたいで匿名の訪問者と既知の顧客の両方を追跡できるか?
そのCDPは、イベントデータを収集し、アイデンティティベース(電子メール、ユーザー名など)およびクッキーベース(ブラウザクッキー、IDFAなど)のトラッキングが可能なWebおよびモバイルのSDKを提供しているでしょうか?
どのようにプライバシー保護とコンプライアンスをサポートするか?
顧客同意管理システム(CMP)との連携は可能か、連携しているツールは何か、データ開示要求に対してはどのように対応可能か、といった点を確認しましょう。
データの保持期間は?
長期にわたって顧客を理解し、顧客エンゲージメントを向上させるためには無制限のデータ保持が求められます。
顧客セグメントを作成するためのツールは、直感的で使いやすいか?
候補とするCDPは、データサイエンティストやIT担当者でなくても、セグメントを簡単に定義、管理できるかを確認しましょう。
フィルタリングされていないローデータにアクセスできるか?
ローデータまでさかのぼって初めて、どのような顧客データなのかわかることも少なくありません。顧客をより深く理解するため、ローデータを深く掘り下げる場合があります。ローデータへのアクセスが可能であるCDPの選定を推奨します。
AIや機械学習のエンジンを搭載しているか?
AIや機械学習のセグメンテーションに、自分が理解しやすい形でアクセスできるか確認します。
どのようなセキュリティを提供しているか?
顧客の個人情報を扱い、安全性を確保するため、ベンダーがどのようなセキュリティプロトコルを持っているかを知る必要があります。関連機関からの認証とともに、業界のセキュリティ水準に則って運用されていることを確認しましょう。
トレーニング、プロフェッショナルサービス、サポートを提供しているか?
実際の使用方法を学ぶためにどのようなトレーニングプログラムを提供しているか? カスタムワークのためのプロフェッショナルサービスが利用できるか? CDPが導入された後にどのような学習およびサポートチャネルが利用できるか? 事前にベンダーに確認しましょう。
自社の業界、用途の導入実績は豊富か?
自社のビジネスに近い知見を持っているベンダーには、適切なサポートが期待できます。ぜひ実績を確認してください。
部門別CDPの活用例
CDPを導入した多くの企業が実践する、代表的な施策の例を挙げました。マーケティング、営業、カスタマーサポートの部門ごとにまとめています。
マーケティング
リアルタイムのパーソナライゼーション施策
適切なメッセージを、適切なタイミングで、適切なチャネル・デバイスで提供し、顧客のエンゲージメントを高めます。
クロスチャネルの統合
顧客一人ひとり、もしくは特定のセグメントがカスタマージャーニーにおいて接触するチャネルを見極め、それらのチャネルで一貫したメッセージや情報を提供します。
行動ターゲティング
視聴した商品、読んだコンテンツ、過去の購入履歴など行動によって顧客をセグメント化し、訴求したい商品やサービスをオファーします。
ルックアライク広告
購入商品、購買行動、属性などが類似した顧客セグメントを定義し、そこからターゲットとなる類似顧客を効率的に発見します。
営業
見込み客のスコアリングと優先順位付け
機械学習を適用し、顧客企業や担当者が製品を受注確度、離反確度の予測が可能に。質の高い見込み客や、購入確度の高い顧客にリソースを集中できます。
クロスセル・アップセルの機会の発見
購入や閲覧の履歴を分析し、機械学習を活用して、顧客対応のタイミング、対応部門、チャネル、具体的な対応内容をレコメンドします。
アカウントベースドマーケティング(ABM)
特定の企業をターゲティングし売上を最大化するABMを支援。CDPのセグメンテーションでフォーカスすべき企業を見極め、優先順位をつけます。チャネルやキャンペーンを横断して、企業と所属する個人のコミュニケーションログをトラックすることも可能。
顧客企業・担当者に関するデータの統合自動化
組織内の各部門で管理・活用する顧客企業、担当者のデータを自動で統合。主なMA・SFA・CRM・その他デジタルマーケティングツールとの連携も。
カスタマーサポート
リアルタイムの顧客可視化
基幹システム、Web・アプリログ、店舗(オフライン)、位置情報等、顧客に関わる全てのデータを、コールセンターから参照し、利用できます。
コールセンターの対応時間の短縮
CDPに統合されたWebサイトなどの行動データを共有。ルールや機械学習を適用して、オペレーターに、顧客に対する次の最適なアクションを提示し、サポートを効率化します。
解約率の低下
製品やサービスを解約する可能性の高い顧客を見極め、丁寧なフォローアップなど、顧客との関係を構築して再エンゲージするためのアクションが可能になります。
LTV(顧客生涯価値)の予測
データに機械学習を適用し、LTVの高い顧客を効率的に識別し、その行動特性を理解できます。優良顧客等を見逃すことなく、コンタクトセンターの活動を最適化できます。
VOC(顧客の声)の解析
書き起こしツール等と連携して、通話のテキストデータを収集し、機械学習を行うことが可能。自然言語処理を活用したワード分析により、顧客セグメントを抽出し、対応改善に必要な情報をフィードバックできます。
[保存版]CDPの導入事例9選
CDPの導入を成功させるには、豊富なユースケースを知り、自社で活用できるパターンを検討することが重要です。最後に、世の中のあらゆるデータを収集・分析・連携できるTreasure Data CDPを導入いただいた9社の事例を紹介します。
- 株式会社パルコ
- ソニーマーケティング株式会社
- 株式会社ストライプインターナショナル
- 株式会社クレディセゾン
- ライオン株式会社
- パナソニック株式会社
- 株式会社テレビ東京コミュニケーションズ
- パーソルホールディングス株式会社
- コインチェック株式会社
いずれも、企業内に散在する顧客データを統合・分析し、マーケティングや営業、カスタマーサポートに活用しています。詳しくは以下から、資料を無料ダウンロードしてください。
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