CDPとは何か?カスタマーデータプラットフォーム完全ガイド
CDP(カスタマーデータプラットフォーム/顧客データ基盤)とは、組織全体や複数のチャネルから顧客データを1つのデータベースに収集・保管し、データを統合することで顧客データを名寄せしたり、分析、アクティベーションを行うアプリケーションのことです。
CDPは、マーケターやカスタマー・エクスペリエンスを横断で管理するチームが活用するデータベースで、マーケティングの最適化、営業組織の強化・改善、顧客体験向上といった様々な場面で活用することができます。なぜなら、CDPは、ある特定の用途に特化したツールではなく、無限の可能性をもったアプリケーションだからです。 マーケティング、プロダクト、セールス、カスタマーサポートといった各システムやプラットフォーム、チャネル、デバイスから多種多様な顧客データを取り込み、統合された「顧客プロファイル」を作成することができます。最も一般的な使い方は、統合された顧客プロファイルをもとにカスタマージャーニーを可視化し、顧客を全方位で捉え、そこから分かったインサイトをもとに、高度なターゲティングや顧客一人一人に適したチャネルにおいて最適なメッセージングや体験を提供することです。これはマーケティングの最適化だけにとどまりません。
CDPの特徴とは?
CDPは、ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ(ビジネスパートナーからのデータ)や サードパーティデータなど外部データ(ファーストパーティデータをエンリッチメントするためのデモグラフィックデータや位置データなど)を組み合わせて、統合管理します。CDPは、顧客プロファイルデータを統合して、信頼できる唯一のデータソース(シングルソースオブトゥルース(SSOT))を作成することができます。そして、このデータを他のシステムに連携し、施策を実行することで、パーソナライズされた適切な顧客体験を実現します。
CDPの機能には以下のものがあります。
- データの収集:CRM、ウェブやモバイルアプリのログ、メールマーケティングのログ、カスタマーサポートのログ、eコマース、IoTなど、マーケティング、セールス、カスタマーサポート、プロダクトといった各システムから顧客データを収集します。
- IDの統合:購入した商品、閲覧したWebページ、クリックした広告など、多種多様な顧客データを1つのユニークな識別子に統合し、重複するプロファイルを1つのプロファイルにまとめます。
- セグメンテーション:ルールベースのモデルを用いて顧客データを分析したり、人工知能(AI)や機械学習(ML)を活用して共通の属性から特定のセグメントを発見します。
- 顧客データ分析:機械学習を用いて顧客データを分析し、チャネルをまたいだカスタマージャーニーをより精緻に把握し、トレンドや相関関係を明らかにして顧客体験の向上に役立てます。
- レポーティング:顧客プロファイル、ターゲットとセグメント、カスタマージャーニーマップなど、BIツールやダッシュボードで重要な顧客インサイトを導き出します。
- 施策の実行:リアルタイムのプロファイルデータを様々なマーケティングシステムに連携し、パーソナライズされた顧客体験を一人ひとりに最適なチャネルやデバイスで提供します。
“54%の企業が、データ活用における最大の障壁は、データの断片化やサイ ロ化であり、それにより包括的なカスタマージャーニーの把握を困難にして いると回答しています。”
ー調査レポート 2019年におけるカスタマージャーニーの現状 (Treasure Data, Inc.調べ)
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【CDP構築検討の際におさえるべきポイント】
CDPのデータ収集能力とは?
CDPは、実装済みの連携コネクタ、SDK、ウェブフック、およびAPIを使用して、組織全体で使われる 幅広いシステムとデータソースに接続します。CDPは、プロファイルデータやリアルタイムのインタ ラクションデータ(行動、人口統計、トランザクション)、キャンペーンデータ、製品データ、カスタマーサポートデータ、モバイルやデバイスデータ、IoTデータなど、多種多様なデータを収集します。
顧客データは、構造化データ、非構造化データ、半構造化データなど、さまざまな形式で収集されるため、CDPはこれらのデータを統合して1つの顧客プロファイルを構築する必要があります。Treasure Data CDPはデータモデルがスキーマレスであるという特徴を活かし、事前に定義されたテーブルを作成することなく、生のイベントレベルのデータを収集することができます。これにより、収集プロセスが高速化され、データソース側で行われた様々な変更や修正にも柔軟に対応します。
顧客データの収集方法はいくつかあります。バッチ処理は、データパイプラインの一部であるワークフローによって自動化されます。また、増分のバッチ処理を設定して、前回のアップロード以降、最後のデータセットのみを取り込むこともできます。
また、ウェブやモバイルアプリから発生するデータをCDPにストリーミングインポートすることで、 マーケターは顧客プロファイルの変化をリアルタイムに把握することができます
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【カスタマーデータプラットフォーム(CDP)を徹底的に解説!】
CDPのデータ統合の手法とは?
顧客データ統合における重要な要素の1つは、IDの統合です。CDPはどのようにデータを統合するのでしょうか?IDの統合とは、複数の顧客タッチポイントを同一人物に正しく紐付け、各プロファイルに一意の顧客IDを割り当てるプロセスです。顧客IDの名寄せには、複数のシステムから識別子をつなぎ合わせるための高度なアルゴリズムが必要となります。手作業で行うことは非常に難しい大規模な作業です。顧客IDをつなぎ合わせていく際、AIと機械学習を活用することで自動化することができ、さらに、顧客との絶え間ないコミュニケーションに応じてデータを継続的にプロファイルに統合していくことが可能です。
データ統合のプロセスでは、まず、顧客データにおける欠落したデータ、偽のデータ、または無関係なデータを検出、検証し、整形します。一意の顧客プロファイルを作成するために重複データの削除が必要です。アイデンティティの解決プロセスは、以下の方法で行われます。
- 決定論的マッチング:各システムの顧客レコードの固有IDを、Eメール、電話番号、ユーザ名などの識別子を用いて照合します。比較的精度は高いといえます。ファーストパーティデータが容易に入手できる場合に有効です。
- 確率的マッチング:この方法では、AIを用いて様々な顧客データを分析して、2つのIDが同じ顧客であるという統計的な可能性を推定して照合します。使用される識別子には、IPアドレス、デバイスの種類、オペレーティングシステム、ブラウザの種類などがあります。このマッチングは、決定論的マッチングよりも確実性は低いですが、リーチを拡大したり、ファーストパーティデータが限られている場合には非常に有効です。
一意の顧客IDで統合することで、それぞれのタッチポイントごとに切り離された状態ではなく、顧客を“個”客として認識することができるようになります。一意の顧客IDで統合されたデータを使うことには次のようなメリットがあります。
- アトリビューションモデルの精度を向上させる
- より精度の高いデータに基づいてキャンペーンを最適化することができる
- マーケティングの効率を高めることができる。(例えば、顧客が購入済みの商品の広告を出さないようにしたり、チャネルを跨いだ出稿の頻度を制限して、顧客が広告に飽きるのを防ぐことができる)
CDPでどのようにデータを分析するのか? 予測分析はどのように機能するか?
CDPは、顧客情報を収集・保管するための単なるデータベースではありません。ルールや機械学習を用いた顧客プロファイルの分析やセグメント化、予測スコアリングの実行が可能です。さらに CDPは、他のBIツールとシームレスに連携してデータを可視化することも可能です。
マーケターは、CDPで統合されたデータセットにアクセスすることで、属性や行動に基づいたきめ細かなセグメントを作成することができます。ルールベースのアプローチを用いて手動でセグメントを定義することも、予測分析を活用することも可能です。
カスタマージャーニー全体を通して顧客とのタッチポイントを分析し、分析して得たインサイトをもとに、適切なメッセージを適切なタイミングで適切なチャネルに、パーソナライズされた顧客体験を 提供することができます。その結果、顧客のエンゲージメントを向上が期待できます。
Forbes Insights: “Data Versus Goliath” (Forbes InsightsとTreasure Data, Inc.が主要産業の400人の経営者を対象に実施したグローバル調査)に よると、44%が、CDPは組織内のロイヤルティ向上とROI向上に役立っていると回答しています。
CDPの施策実行ツールへのデータ連携機能とは?
最後に、顧客データを他のシステムで活用できるようにCDPからデータ連携し、キャンペーンや顧客体験を向上させるコミュニケーションを実行します。マーケターは、このデータを活用して、ウェブサイトのパーソナライズ・特定のターゲットに絞ったメールの送信・適切なレコメンデーションなど、様々な体験の提供が可能になります。
CDPでどのような業務の最適化ができるのか?
CDPは、組織全体での顧客データ活用を可能にし、例えば以下のような業務の最適化を図ることができます。
- オーディエンスデータ管理
- マーケティングキャンペーン管理
- 顧客サービス・サポート
- 製品開発
- セールス
CDP Institute Member Survey 2019によると、B2C企業はB2B企業よりもCDPの導入が早かったといいます。しかし、2021年現在、B2C企業、B2B企業を問わず、多くの企業がCDPの導入を進めている、または導入を計画していると回答しています。
CDPのポピュラーなユースケースとは?
なぜCDPが求められるのでしょうか?CDPの最もポピュラーなユースケースは、パーソナライズされた顧客体験の提供とターゲティング広告の2つです。この2つのユースケースに共通するのは、一人ひとりに最適な顧客体験を提供するには、顧客との関係性の把握が欠かせないということです。CDPの最大の強みは、顧客プロファイルデータを統合して、信頼できる唯一のデータソース(シングルソースオブトゥルース(SSOT))を作成し、AIや機械学習、マーケティングオートメーションを使ってパーソナライゼーションを大規模に実施することで、顧客一人ひとりに素晴らしい顧客体験を 提供することができることです。実際にどのように行うのかを見てみましょう。まずは、優れた顧客体験の要素について考えてみましょう。
顧客体験を優れたものにするのは何か?
関連性があることお客様が購入プロセスのどの段階にいるのかを理解し、適切なメッセージや情報を提供していること
コンテクストがあることチャネル、時間帯、天候、過去の行動や購入履歴などの属性に応じて、お客様へのメッセージをカスタマイズしていること。
パーソナライズされていること共通の属性で顧客をセグメント化し、そのセグメント に合わせてメッセージや情報を提供しること。さらにはOne to Oneのメッセージや情報提供を行っていること。
一貫性があることチャネルやデバイスに関わらず、お客様に提供する 体験や情報が一貫していること
タイムリーであることお客様が近くにいても、お店にいても、ウェブサイトを見ていても、適切なメッセージを正確なタイミングで提供していること
優れた顧客体験を提供するためには、企業は顧客データにまつわる課題を乗り越える必要があります。もしCDPがなければ、どうなってしまうでしょうか?
- 必要なデータを探すことができない
- サイロ化されたシステムの中だけで管理されている
- マーケティング機能ごとにデータが分離されている
- 統合できない
- 分析がほとんど不可能
顧客を全方位で捉えるということは、もはや「できればいい」というものではありません。あなたの企業そしてビジネスが生き残り、成功するためには、その方法を見つけ出す必要があるのです。
カスタマー・エクスペリエンス(CX)におけるCDPの役割とは?
CDPは以下を検討しているマーケターに必要です。
- チャネルやデバイスを問わず一貫した顧客体験を提供したい
- 大量の顧客データと複数の顧客タッチポイントから複雑なカスタマージャーニーを捉えたい
- パーソナライゼーションとターゲティングを改善し、適切な顧客に適切なタイミングと方法で適切なメッセージを提供したい
CDPがなくても、これらのことができるでしょうか?可能性はありますが、簡単ではありません。IT部門が社内に存在するすべての顧客システムから統合された顧客データベースを構築するのに必要な時間と労力は膨大です。IT部門は、すべてのデータソースを探し出し、多種多様なタイプのデータを一箇所にまとめ、収集するための機能を開発・維持していく必要があります。さらに、データをクリーニングし、一意のIDで統合しなければなりません。このような作業をもし1人で行うとなると、数ヶ月、あるいはそれ以上かかることも考えられます。
データサイエンティストやエンジニアの協力を得て、継続的にプロセスを効率化し、データ分析を行って、セグメント化し、マーケティングチームが顧客一人ひとりに適切なマーケティングプログラムを作成して提供できるようになるためには、数年かかるかもしれません。
CDPは、顧客プロファイルデータを統合して、信頼できる唯一のデータソース(シングルソースオブトゥルース(SSOT))を作成するための時間と労力を大幅に削減します。
CDPは以下を可能にします
- データの民主化:CDPは企業内の誰もが顧客データをビジネスに活用することができるようにします
- 柔軟性と俊敏性:新しいデータソースを迅速に接続し、プロファイルやセグメントをリアルタイムに更新することができます
- オペレーションの効率化:CDPは、顧客データを取り扱いできるように整形・検証しするための必要性と時間を削減します
- マーケティングコストの削減と予算の最適化:特定の顧客にフォーカスして、適したキャンペーンやプログラムを実施することができます
- 収益の増加:営業チームやサービスチームが質の高い見込み客を認識し、クロスセルやアップセルの機会を捉えるために必要な情報を提供します
CDPについて、多くの人が妄信していることとは?
多くの人は、CDPを導入するには、既存のアプリケーションを「捨てて置き換える」ことが必要だと考えていますが、これは誤解です。顧客データの「ハブ」として、既存のアプリケーションの中心に位置するものだからです。CDPは、様々なシステムから顧客データを取り込み、顧客データを統合し、マーケティ ングキャンペーンやコミュニケーションを実行するシステムにデータを連携します。
誰もがCDPを必要としているのか?
CDPは組織に価値をもたらすことは明らかですが、必ずしも誰にでも必要というわけではありません。
次のような場合には、CDPは必要ないかもしれません。
- オーディエンスデータは、個々の顧客プロファイルのシステムで管理している
- マーケティングテクノロジーツールが限られており、顧客データを収集したり、顧客体験を提供したりするための様々なテクノロジーを持っていない
- 顧客データ自体がシンプルで、簡単に統合して分析することができる
- パーソナライゼーションを行う必要がない
CRMやDMPと比較した際のCDPの優位性とは?
CDPは、CRM(Customer Relationship Management System)やDMP(Data Management Platform)など、他のマーケティング・セールステクノロジーと混同されがちです。CDPについて詳しく説明する前に、混乱を解消しておきましょう。
カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)とは、企業内に散在する様々なシステムから収集したデータを統合して、顧客プロファイルを作成する顧客データベースです。そして統合されたデータを分析することで、自社の顧客を理解し、顧客体験向上を実現します。
データマネジメントプラットフォーム(DMP)は、マーケターが広告、リターゲティング、メディアバイイングを改善するために使用するソリューションです。収集されるデータは、主にクッキー、デバイス、IPアドレスから得られる匿名データで、保存期間が限られており、ターゲットを絞った広告キャンペーンのためのセグメントを作成するために特別に使用されます。CDPは、個人を特定できるデータやID解決機能と組み合わせてDMPデータを使用することで、より幅広いマーケティング戦術に利用することができます。CDPとDMPの違いは次の表にまとめています。
CRM(Customer Relationship Management)とは、見込み客や顧客とのやり取りを追跡・管理するためのソリューションです。ほとんどのデータは、営業担当者が連絡先や営業活動を手動で入力することで生成され、自社の顧客を育成し、顧客とのコミュニケーションを一元的に把握することができます。CDPは、CRMデータを収集し、企業が保有する他のデータソースと組み合わせて顧客を全方位的に可視化することができます。メール配信などCRMを介して実行するコミュニケーションを自動化するためのルールを、CDPで設定することができます。
DMPやCRMと比較した際のCDPの優位性とは?
これらのソリューションは似ているようで全く異なる機能を持ち、異なる目的のために存在しています。以下の表は、CDPとDMP、CDPとCRMの違いについて説明しています。
CDP
- 主に分析に使用される。ファーストパーティの顧客データを取り込み、履歴や行動データなどの多種多様なデータと合わせて管理する
- 主に個人を特定できる情報(PII)(顧客ID、氏名、電子メール、住所など)をキーとする
- オンラインとオフラインの両方のデータを取得する
- 顧客ライフタイムを通じた分析を可能にするため、一般的に長期間の保存が可能
- すべてのマーケティングプロセス(営業、サポート、その他)に使用される
DMP
- 主にオーディエンスのセグメンテーションに使用される。セカンドパーティ・サードパーティの顧客データを取得する。データは匿名(例:クッキー、デバイス、IPアドレス)で、PIIは保存できない
- 主に匿名のデジタル識別子(非 PII)(例:Cookie ID、IDFA など)をキーとする
- オンライン上のアノニマスな(匿名の)オーディエンスデータを取得する
- 主なユースケースが広告ターゲティングであるため、比較的保存期間は短い
- 広告およびリターゲティングプログラムをサポートする
CRM
- 主にユーザーが作成したデータとのエンゲージメントシステム
- 顧客ID、名前、電子メール、住所など、ユニークな顧客識別子をキーとする
- オンラインデータをキャプチャし、オフラインデータは手動で入力することが可能
- 永続的なデータ保存
- 主に営業チームが、営業プロセスにおいて顧客や見込み客の詳細を把握、追跡、管理するために使用される
よく混同されるCDP、DMP、CRMですが、この表にあるように、全く異なる機能と目的を持っています。そしてよく見ると、これらのソリューションは補完関係にあることがわかります。
- CDPは、DMPからデータを取り込むことで、顧客プロファイルをエンリッチメントさせることができます
- DMPは、CDPの顧客データを取り込み、広告ターゲティングを向上させることができます
- CDPは、CRMから顧客データを取り込むことができます
CDPとDMPの違いについてさらに詳しく知りたい方は、「CDPとDMPの違いは何か?」をお読みください。
CDPの機能とは?
ここでは、CDPの構造と主要な機能についてご紹介します。
データ収集・統合機能
最初のステップは、基本的な顧客情報やトランザクションデータなど、ファーストパーティデータをCDPに収集することです。ファーストパーティデータは、ウェブやモバイル、メールやMA(マーケティングオートメーション)、CRM、アンケート、eコマースシステムやチャネルから生成されます。データは、構造化されたもの、非構造化されたものなど、さまざまな形式で提供されます。多くのCDPは、マーケティング、セールス、サポートなどのポピュラーなデータソースやシステムに対して、事前に定義された統合機能を提供しています。システムやチャネルからCDPへは、リアルタイムまたはバッチで、絶え間なく最新の顧客データがインポートされます。
データクレンジング機能
データ収集の次は、データの整形です。顧客データの整形プロセスは、不完全であったり、破損していたり、さらには重複しているデータを特定するのに役立ちます。一部のCDPには、データの一貫性と正確性を確保するためにデータを整形する機能が備わっています。ETL(Extract,Transform,andLoad)機能が搭載されたCDPもあり、これらの作業を行うためのデータパイプラインを構築することができます。
データエンリッチメント機能
顧客データに外部データを追加し、ファーストパーティデータと組み合わせることで顧客プロファイルを拡張させることができます。外部データとは、直接またはデータマーケットプレイスを通じて入手した他社のファーストパーティデータ、または顧客と直接関係のない企業が集計したデータを指します。企業のリスクや財務情報といったビジネスデータ、人口統計データ、天候や興味関心に関するデータなどがそれらに該当します。このようなデータでプロフィールを拡張することで、ファーストパーティデータで不足している属性や不正確な属性を補うことができます。また、広告プラットフォームで、種(シード)となるセグメントを拡張させることができ、より高いマッチング率と市場へのリーチで見込み顧客の獲得を強化することができます。
セグメンテーション機能
CDPは、マーケターが顧客の属性や行動に基づいて顧客セグメントを定義するための機能を搭載しています。セグメンテーション機能を活用して、ターゲティングやパーソナライゼーション施策を改善します。セグメンテーションには、ルールベースのものと、機械学習やAIを用いて構築されたものがあります。予測スコアリングは、機械学習アルゴリズムの一例です。予測スコアリングを用いることで、マーケターは自分では集計が難しいアルゴリズムによって顧客プロファイルを充実させ、より精緻なターゲットオーディエンスを作ることができます。
CDPのセグメンテーション機能を使えば、以下のようなことが可能になります。
- エンゲージメントが高い顧客を見極める
- 顧客の離反確率を予測する
- アップセル、クロスセルの可能性を見極める
- パフォーマンスが高い顧客を特定する
- 顧客の購入履歴に基づいた適切な提案を行う
顧客データを分析し、セグメンテーションするには様々な方法があります。すぐに使えるコンポーネント、ビルド済みのコードやライブラリを提供しているCDPもあり、それらを活用することで迅速なセグメンテーションが可能です。
カスタマージャーニーオーケストレーション機能
CDPの中には、リアルタイムで顧客一人ひとりとのコミュニケーションを最適化するカスタマージャーニーオーケストレーション機能を備えたものもあります。マーケターは、カスタマージャーニーのステージを作成することで、消費者のブランドに対するエンゲージメントの深さを可視化することができ、カスタマージャーニーマップの各ステージで使っているチャネルや、エンゲージメントやコンバージョンに適したメッセージやオファーについて、より深いインサイトを得ることができ、次のベストアクションを最適化することができます。
リアルタイムなセグメンテーションにより、顧客一人ひとりにパーソナライズされた次のキャンペーン・コミュニケーションを導き出すことが可能になります。
データ連携・施策実行機能
実装済みの連携コネクタやREST APIを介して、データを外部システムに連携し活用することができます。CDPは、顧客一人ひとりのプロファイルデータ、セグメントといった様々なデータを、ソーシャルメディア、ウェブサイト、モバイルアプリ、メールマーケティングシステム、広告システム、ビジネスインテリジェンスツールなどに連携することで、施策の実行が可能になります。データは、スケジュールに沿ってこれらのシステムにプッシュしたり、ウェブサイト、ソーシャル、広告、A/Bテストツールからリアルタイムに引き出すことができます。
ダッシュボード機能
CDPの中には、KPIやトレンド、その他の関連情報を可視化するレポートやダッシュボードを提供するものがあります。多くのCDPは、BIとの連携が可能です。また、オーディエンスデータ管理やセグメンテーションダッシュボードといった組み込み型レポートを提供しています。このような可視化機能が組み込まれているため、マーケターはセグメントの作成やデータ連携・施策実行を行う際に、迅速な意思決定を行うことができます。エグゼクティブへの報告やキャンペーンの状況報告など、高度なレポーティングが必要な場合は、カスタマイズ可能なレポートやダッシュボードの作成が可能なCDPを検討しましょう。
CDPの基盤となるアーキテクチャとは?
CDPは、ペタバイト以上のデータを保存できる柔軟性が求められます。クラウドベースのソリューションは、クラウド特有の拡張性に加え、マーケターが必要とするデータの量、速度、種類をカバーする能力を持つデータレイクテクノロジーを備えているため、CDPの中でも人気の高い選択肢です。
CDPは、膨大なデータを収集・保存できることに加え、非構造化データを含む多種多様な形式のデータをサポートできる柔軟性が求められます。つまり、イベントレベルの生データを保存し、マーケターが利用できるようにするためには、テーブルの整理が必要ないというのは重要なポイントです。スキーマレスなデータ収集が可能なCDPであれば、データソースや収集元のシステムに変更があっても、データが常に利用可能です。また、顧客はいつどんなときのデータであっても、データを利用できるため、テーブルの定義にまつわる時間を大幅に節約することができます。
CDPのセキュリティアーキテクチャにおけるCDPの役割とは?安全なCDPを選ぶには
セキュリティは、CDPの重要な要素の1つです。サイバー攻撃の件数は年々増加しており、ハッカーに顧客データを盗まれることは絶対に避けなければなりません。ここでは、安全なCDPを選ぶためのヒントをご紹介します。
- 認証と承認にSAML2.0などの業界標準プロトコルを採用し、高度なポリシーベースのアクセスコントロールを提供するCDPを選びましょう。
- データの損失や脅威を防ぐために、強力なセキュリティフレームワークが導入されていることを確認しましょう。これらは、ISO/IEC 27001やSOC 2 Type 2など、第三者機関による複数の認証によって裏付けられている必要があります。
- また、CDPと他のアプリケーションの間で転送されるすべてのデータが、転送中および保存中に暗号化されていることを確認しましょう。
- 最後に、組織・役割・地域ごとにプラットフォームへのユーザー権限を設定し、システム全体のデータに対するあらゆる変更をトラックするための監査ログを確実に取得できる機能を備えているか確認しましょう。
エンタープライズ企業向けCDPは、最も厳しいセキュリティプロトコルと企業のコンプライアンス義務に準拠したレベルのセキュリティを提供する必要があります。
顧客データを活用したマーケティング活用を妨げるCDPの神話とは?
CDPの立ち上げには長い時間がかかると言われることがあります。実際には、エンタープライズ企業向けCDPは、すぐに立ち上げるために必要なツールとリソースを提供します。例えば、外部のデータソースと迅速に接続できる統合機能、特定のユースケースのためにすぐに使えるコンポーネント、ビルド済みのコードやライブラリ、公式ドキュメントの他、人材育成のためのトレーニングプログラム、スムーズな導入を支援するプロフェッショナルなカスタマーサクセス・ソリューションアーキテクト・サポートエンジニアチームが企業をサポートします。
トレジャーデータのサポート体制について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
顧客データのプライバシーとコンプライアンスにおけるCDPの役割とは?
顧客は、より良い体験を求めています。しかし、プライバシーを犠牲にしてまでそれを求めることはありません。つまり、プライバシーとコンプライアンスの話を抜きにして、顧客データの一元化を語ることはできません。データプライバシーは、単にプライバシー規制に準拠するだけでなく、顧客との信頼関係を構築するためのものです。
コンプライアンスにCDPはどのように役立つか
GDPRやCCPA、またはその他のデータプライバシーやコンプライアンス規制に準拠するためには、同意を取得した顧客データとその使用方法をトラックする必要があります。顧客から情報収集に対する同意を得るために、同意管理システム(CMP:コンセントマネジメントプラットフォーム)を導入している企業も増えていますが、CMPでは、同意が得られた後にその顧客データがどこにどのように保存されているかはトラックできません。CDPは、CMPと統合することで、適切な同意を得たシステムや人だけを管理し、施策を実行することができるようにします。
CDPは、ある種データカタログのような役割を果たし、データソースの詳細や、各項目が統合データベースにおいてどこで使用されているかなど、データソースのマップといえる役割を担います。また、アクセスコントロールにより、顧客の個人情報にアクセスできる人やシステムを管理します。
信頼構築におけるCDPの役割とは?
マーケターにとって、プライバシーとコンプライアンスは、顧客や見込み客との信頼関係を構築する機会となりえます。Deloitte社の調査によると、調査対象である消費者の半数は、自分の個人データを管理できていないと感じています。また、信頼できる小売業者へは個人情報を共有する可能性が高いことも示されています。マーケターは、CDPを活用してプライバシーとコンプライアンスを管理することで、「顧客の情報が適切に管理され、顧客体験を向上させるためにのみ活用されている」ことを顧客に明確に示すことができます。
データの“サイロ化”を解消するためのCDPの役割とは?CDPの統合機能
最高の顧客体験を実現するために、マーケターが必要とする機能をすべて提供することができるマーケティングテクノロジーはありません。しかし、いまだにプラットフォームとSuites(スイート)についての議論が続いています。確かに、マーケティングプラットフォームの中には、マーケターが使用するツールをまとめて提供しているものがあります。これらのスイートの中には、初歩的なCDP機能を提供するものもあります。しかし、スイートは通常、1つのツールとして、CDPの必要な機能のごく一部しか提供していないことが少なく有りません。適切な顧客を提供するために必要なあらゆる機能を確実に得るためのベストな方法は、スイートではなく、Best-of-Breed(ベストオブブリード)、すなわち、いくつかのテクノロジーやシステムを組み合わせて構築する場合、複数社のベンダーが提供する製品を自由自在に組み合わせることです。実際、Campaign Monitor社の最近の調査によると、ほとんどのマーケターは、ベスト・オブブリードでのテクノロジー導入を望んでいます。
昨今のマーケティングテクノロジーランドスケープをみると、マーケターが独自のマーテックスタックを構築する際に組み込む多種多様なテクノロジーが存在していることがわかります。ベストオブブリードで、複数のソリューションを利用する際の課題は、ソリューション間の点と点をつなぐことです。システム間で情報が共有されないと、データがサイロ化されてしまうのです。
CDPは、多種多様なシステムから顧客データを一元的に収集・統合することで、ベストオブブリードが抱える課題を解決します。CDPは、マーケティングシステムの中央に位置する情報ハブの役割を果たします。最新のデジタルマーケティングやセールスソリューションは、CDPに容易に接続することができるようAPIを提供しています。顧客一人ひとりにパーソナライズされたマーケティング施
策を実行するために柔軟に顧客データをインポート・エクスポートすることができます。選ぶべきCDPは、以下のようなポピュラーなシステムと柔軟に連携できなくてはなりません。
- MA(マーケティングオートメーションプラットフォーム)
- データベース
- CRM(カスタマーリレーションシップマネジメントシステム)
- ウェブアナリティクス
- eコマース
- ソーシャルメディア
- DMP(データマネジメントプラットフォーム)
- 広告
- IoT・センサーデータ
- BIプラットフォーム
さらにもう一つのCDPにまつわる神話
もう一つ、よく言われる話は、CDPを導入すると、そのベンダーのプラットフォームに固定(ロックイン)されるというものです。これは、CDPを含むスイートを購入する場合には当てはまるかもしれません。しかし独立型のCDPであれば、永続的にデータを使い続けることができるのです。
部門別のCDP活用例
デジタルチャネルの急増を背景に、マーケターはしばしば嵐のような状況に身を置くことになります。最小限の投資で顧客生涯価値(LTV)を向上させ、その投下コストを正当化するにはどうすればよいのか。優れたCDPを活用して、常に既存のマーケティングシステムと連携し、データに基づいて、マーケティングROIを最大化しながら顧客ロイヤルティを高める必要があります。CDPは情報ハブのような存在のため、導入のROI算出が難しく思われがちですが、実際は導入後短期間で採算が合う企業は多いのです。CDPのコアとなるのは、統合された顧客データです。ノイズや重複が排除された「顧客プロファイル」は、様々な施策やコミュニケーションを行うに十分な精度の高い顧客セグメンテーションを可能にします。さらに、高度な機械学習機能を活用することで、その精度はさらに増します。
マーケティング
- リアルタイムなパーソナライゼーション:適切なメッセージを、適切なタイミングで、適切なチャネル・デバイスで提供し、顧客のエンゲージメントを高める。
- クロスチャネル・オーケストレーション:顧客一人ひとり、もしくは特定のセグメントがカスタマージャーニーにおいて接触するチャネルを見極め、それらのチャネルで一貫したメッセージや情報を提供する。
- 行動ターゲティング:視聴した商品、読んだコンテンツ、過去の購入履歴など行動によって顧客をセグメント化し、訴求したい商品やサービスをオファーする。
- ルックアライク広告:購入商品、購買行動、属性などが類似した顧客セグメントを定義し、そこからターゲットとなる類似顧客を効率的に見つける。
CDPから価値を引き出すことができるのはマーケターに限りません。営業やサポート、情報システム部門などでも多くの活用例があります。ここでは、CDPがどのように顧客体験を向上させるのか、例をもとにご紹介します。
営業
営業活動におけるデジタル化・データ活用の潮流は、ますます加速しています。企業は部門横断の統合顧客基盤を設け、一元管理されたデータを分析・活用することで、顧客企業や担当者への対応をマーケティング・営業・サポート部門全体で最適化することが技術的に可能となり、このような体制や仕組みを構築していく企業が増えています。営業部門は、CDPを活用して見込み客や既存顧客に関するより詳細な情報を全方位から収集し、統合することで、営業効率と収益性を向上させることができます。CRM、ERP、営業支援ツール、さらにはサポートやカスタマーサービスからのデータと、マーケティングシステムや他の外部データをCDPで統合し、顧客プロファイルをさらに充実させることが可能です。
CDPによる営業支援の活用例を紹介します
- 見込み客のスコアリングと優先順位付け: CDP上に統合されたデータに、機械学習を適用することにより、顧客企業や担当者が製品を受注する確度、離反する確度を予測することが可能です。営業チームは、質の高い見込み客や、購入確度の高い顧客にリソースを集中させることができます
- クロスセル・アップセルの機会の発見: 既存顧客の最近の購入履歴や閲覧履歴などから、その顧客がどのような製品やサービスに興味を持っているかを把握することができます。設定したルールや機械学習を用いて、顧客対応のタイミング、対応部門、チャネル、具体的な対応内容が全て最適になるようレコメンドを導き出すことができます。
- アカウントベースドマーケティング(ABM): 顧客企業と所属する担当者を紐付けることで、顧客企業全体と担当者の状態や行動を見える化することができ、ABMの推進を強力に支援します。CDPで特定企業をセグメント化することで、フォーカスすべき企業を見極め、優先順位をつけることができます。また、チャネルやキャンペーンを横断して、企業と企業に紐づく個人とのコミュニケーションログをトラックすることもできます。
- 顧客企業・担当者に関するデータの統合自動化: 各部門で管理・活用されている様々なチャネルの顧客データを自動で統合することが可能。Webサイト上での全ての行動データ、既に導入済みのシステムのデータ、IoT機器のデータなども収集・保管できる。主なMA・SFA・CRM・その他デジタルマーケティングツールとの連携コネクタを備えており、企業は開発や保守が不要です。
カスタマーサポート
これまで、企業の顧客対応は、認知・興味・購入・アフターサービス等の顧客フェーズやチャネルごとに最適化が進む傾向にありました。多くの市場が飽和状態にある現代において、企業は既存顧客の満足度やLTVに目を向けていく必要があります。そのためにも、電話・チャットからデジタルのWebやアプリに至るまで、様々な顧客接点を包括的に管理し、戦略的に顧客体験の向上を図る要の組織として、コンタクトセンターを変革していく必要があるのです。カスタマーサポートチームは、営業・マーケティング活動を含むあらゆる顧客タッチポイントから得られた情報を統合した顧客プロファイルを活用し、お客様のニーズをより深く理解した上で会話を行うことができます。これにより、カスタマーサポートチームは、積極的に具体的なオファーやサービスを提供することができ、サービスやブランドの差別化に繋がります。
- 次の最適なアクションの提示によるコールセンターの対応時間の短縮: カスタマーサポートのコールセンターに統合された顧客プロファイルを提供することで、お客様のニーズに迅速に対応することができ対応時間を短縮できます。CDP上に統合されたデータに、ルールや機械学習を適用することにより、Webやアプリの行動も考慮したネクストベストアクションをリアルタイムで提示することが可能です。
- 解約率の低下: 製品やサービスを解約する可能性の高い顧客を見極め、顧客との関係を構築して再エンゲージするためのアクションがを可能になります。丁寧なフォローアップにより解約率を抑えることができます。
- リアルタイムの顧客可視化: コンタクトセンター内で参照するデータに加え、基幹システム、Web・アプリログ、店舗(オフライン)、位置情報等、顧客に関わる全てのデータを参照したり、利用することが可能です。
- LTV(顧客生涯価値)の予測: 本プラットフォーム上に統合されたデータに、ルールや機械学習を適用することにより、LTVの高い顧客を効率的に識別し、その行動を理解することが可能です。優良顧客等を見逃すことなく、コンタクトセンターの活動を最適化できます。
- VOC(顧客の声)の解析: 顧客との通話音声をテキスト化するソリューション等と連携することで、通話音声のテキスト化データを収集し、機械学習を行うことが可能です。自然言語処理を活用したワード分析により、顧客セグメント抽出したり、コンタクトセンターでの対応改善に必要な情報をフィードバックできます。
情報システム
CDPは、情報システム部門にもメリットをもたらします。
- 開発工数の削減: CDPは、組織内の全く異なる多種多様なシステムに接続し、顧客プロファイルデータを統合可能。IT部門が独自で連携コネクタを開発する必要がなく、時間と労力を大幅に削減します。
- データセットの統合: CDPは、構造化データや非構造化データなど、あらゆる形式のデータを収集することができます。スキーマレスなデータストレージにより、情報システム部門はデータソースの変更が生むデータカラムの変更といったスキーマ設計が不要。メンテナンスの効率性があがります。
- データ収集と統合のための自動化されたワークフロー: 入力・処理から出力までのデータプロセスを、効率的な方法で管理・自動化し、さらに正確なデータ処理が完了したか確認することが可能なため、情報システム部門は低コストなデータ管理が可能になります。
よくある誤解:データサイエンティストでなければCDPを使用できない
優れたCDPは、顧客データ活用を民主化します。使いやすく直感的なユーザーインターフェースにより、データサイエンティストだけでなく、マーケティング部門やカスタマーサポート部門など、様々な顧客接点を管理するチームが顧 客のインサイトを活用することができます。複雑な分析が求められる場合、データサイエンティストの力が役立つかもしれませんが、それはむしろ例外的なことです。
CDPの最適な活用例とは?業界を超えたCDPのカスタマーストーリー
CDPの用途やメリットを理解するには、利用ユーザーの事例から理解するのが一番です。現在、CDPは、化粧品メーカー、自動車メーカー、食品飲料メーカー、さらには小売や金融まで、あらゆる製品やサービスに利用されています。昨今は、小売、金融、消費財、モビリティ分野でのCDP導入が増加傾向にあります。
スバル:自動車メーカーのためのCDPの役割とは?
お客様のタイプ:B2C 自動車・モビリティ業界
SUBARUでは、真剣に車を購入を検討している顧客、いつか買いたいと思っている顧客、気軽に車を調べ始めた見込み客など、一人ひとりの検討度合いに応じた顧客とのコミュニケーションを行う必要を感じていました。今すぐ新車に乗って出かけたいと思っている人と、数ヶ月後、あるいは1年後に新車を買おうと考えている人とではアプローチ方法が大きく異なるからです。そこでSUBARUは、オンラインデータ、ディーラーやイベントなどのオフラインデータに加え、広告やMA、ソーシャルチャネルから得られるデータを統合することで、お客さまの購入検討状況を把握。顧客や見込み客の購買意欲や購入履歴などを全方位で捉えることができるようになりました。これらのデータをもとに、一人ひとりの購買意欲に応じてパーソナライズされたメッセージを送ることができ、また、実際購買に至った顧客属性から似たような見込み客を認識して、新たな潜在顧客を見つけることもできるようになりました。
CDPでデータを統合管理することで、施策がどのように改善されたか一例をみてみましょう。
- デバイスではなく顧客の行動をもとにターゲティングすることで、広告のクリック率(CTR)が350%向上しました
- コンバージョン率が18%から31%に向上しました
- 機械学習を活用して、購入する可能性の高い顧客を特定。ディーラーにフィードバックすることで、接客や、リソースの配置を最適化し、成約率が14%しました
“SUBARUは機械学習を活用することで、‘購入する可能性の高い’見込み顧客に対する予測の信頼性が30%も向上させました。これらの情報は、販売効率を大幅に改善し、限られたスタッフのリソースを有効に活用するのに役立ちます。”
-スバル デジタルイノベーション担当エンジニア 大石正美
SUBARUの詳しい事例はこちらからご覧ください
業界のリーダー企業が、Treasure Data CDPをどのように活用しビジネスを成功させているかはこちらからご覧ください。
CDPのROIをどのように測定するか。マーケティングROIを向上させるためのCDPの役割とは?
CDPが企業にもたらす価値は、どのように示すべきでしょうか?アプローチの1つとして、米国Forrester ConsultingのTEI(TotalEconomicImpactTM)手法があげられます。
Forrester ConsultingのTEITM手法は、ある特定の技術に投資することで得られる主な利益を特定し、定量化するものです。
トレジャーデータは、CDPに投資することで得られる主な利益を特定し、定量化するために、Forrester ConsultingにTEI調査を依頼しました。主なベネフィットは次のとおりです。
- ターゲティングの改善による新規顧客の獲得効率向上と売上増
- セグメンテーションの改善による大口販売増加
- 顧客維持率の向上
金額的な観点から利益を定義するためには、CDPを導入する前に出発点となる値を知っておく必要があります。例えば、ターゲティングの改善による新規顧客の売上増を把握するには、現在の平均売上高を把握し、顧客維持率の改善を数値化するには、顧客の解約と解約による平均的な収益の損失額を調べます。
次に、CDPの導入に関連するコストを算出します
- ソリューションのライセンス費用
- 新たなデータソースの接続、テンプレート・レポート・ダッシュボードの開発など、CDPを維持するためのリソースコスト
- 実装をサポートし、継続的なサポートを提供するためのプロフェッショナルサービスと人材トレーニングのコスト
ROIは、CDPを導入することで得られる利益とコストの差です。これは、トータルマーケティングRO(IMROI)の計算に入れることができます。
トレジャーデータのCDPのTotal Economic ImpactTMは、802%のROIを示しています。TreasureDataCDPのTEITMについて詳しくはこちらをご覧ください。
CDPを導入するには
CDPは、他マーケティングテクノロジーと連携することで一緒に使用することで真の力を発揮します。既存のシステムを置き換える必要はありません。CDPは、段階的に導入していくのがベストソリューションです。以下のステップをお勧めします。
ビジネス目標を明確にし、優先順位をつける
何よりも先に、戦略、ビジネスプランと組織のKPIを理解することが重要です。CDPは、マーケティングをサポートするだけではありません。営業チームに重要なインサイトや、カスタマーサポートが快適なサポート体験を顧客に提供するためのソースとなり、さらには製品戦略にも役立ちます。
企業には、目標、計画、達成すべき主要なKPIが組織ごとに必ず設けられています。営業やサポートチームはどのようなKPIを追っているでしょうか。企業として実現したい姿、そのために実装するユースケースは、企業の目標や組織のKPIをサポートするものでなければなりません。
チームを立ち上げる
CDPは、企業、組織全体の多種多様なシステムからデータを収集して統合します。そのため、CDPを導入してビジネス目標を達成するためには、部門や組織を超えたチームを作ることが重要です。
このチームを率いる人は、様々な相反する事柄を管理し、優先順位を決め、プロジェクトが順調に進むようハンドリングしていく必要があります。ゆえに、CDO、CMO、CRO、CIOに該当するような十分な権限を与えられた人物でなければなりません。次に、マーケティング、IT、データサイエンス、製品、カスタマーサービス、営業の各部門から代表者を募り、さまざまなシステムから得られる顧客データを一元化するためのアプローチを策定します。
焦点を当てるべきユースケースを決める
CDPには数多くのユースケースはあります。導入を成功させるには、それらのユースケースを全部実現しようとしないことです。やらなければならないことが多すぎるからです。
まずは、メールマーケティングキャンペーンのセグメント作成やWebサイトのパーソナライズなど、CDPがどのように機能するかを学ぶために、1つまたは2つの簡単なユースケースから始めるとよいでしょう。あるいは、経営陣に成果を説明しやすい重要なユースケースを1つ選ぶのもよいでしょう。重要なことは、1つまたは2つの重要なユースケースに焦点を当てて開始し、そこから構築していくことです。
データソースのリストを作成する
顧客に関するすべてのデータソースのリストを作成しましょう。ほとんどのデータソースはすぐにリストアップできると思いますが、全く思いもしなかった組織内の他のシステムにも顧客情報が含まれているかもしれません。
データソースの場所、保存されている顧客情報の種類、データの形式(構造化または非構造化)を含めて、データソースのリストを作成します。データソースのデータ構造がどのくらいの頻度で変更されているかも記録しておきましょう。CDPの中には、ローデータをそのままの形式で取り込むことができるものもあれば、データを特定のデータタイプや構成に変換する必要があるものもあります。
顧客接点となるチャネルから得られるデータをマッピングする
お客様とのコミュニケーションやエンゲージメントには、いくつのチャネルを利用していますか?各チャネルではどのようなデータが収集され、使用されているのでしょうか?統合された顧客プロファイルを作成するためには、CDPが管理する必要のあるデータの特定を含め、顧客接点となるあらゆるチャネルから得られるデータをマッピングする必要があります。
組織を横断してデータの依存関係を特定する
例えば、マーケティングチームは、コンテンツ管理、Webサイト管理、Eメールマーケティング、広告、アカウントベーストマーケティングなど、活動ごとに担当するグループに分かれています。これらの各グループを横断して活動とデータの依存関係を確認することで、各グループが特定のデータにどのように貢献しているかを把握することができます。
セキュリティ要件を定義する
CDPには顧客の個人情報が保管されるため、セキュリティ要件を明確に定義する必要があります。誰がCDPにアクセスするべきでしょうか。また、誰に対してどのような役割と権限を付与する必要がありますか?
ガバナンスおよびコンプライアンス要件を定義する
個人情報保護を目的としたコンプライアンスをどのように管理していますか?グローバル企業は、GDPR、CCPAなど、さまざまなコンプライアンス規制に対応しています。それぞれの規制には、顧客データの取得と保存、およびそのデータの使用方法に関する異なる要件があります。CDPはこれらの異なる要件に対応していく必要があります。
概念実証(POC)を始める
あなたの考えるユースケースをCDPで実現できるかどうか、概念実証(POC)を開始します。
- POCに含めるユースケース(複数可)を決めます。もしあなたにとって優先度の高いユースケースを検証できない場合、CDPは適切ではありません。
- ユースケースを検証するにあたり、最も重要なデータソースを統合していきます。
- 検証したいユースケースの中に複雑なものがある場合は、そこから1つを検証対象に含めまし
- ユースケースごとに1つの重要業績評価指標(KPI)を決めます。
- POCとその結果を組織全体に共有します。顧客を全方位から把握する「顧客プロファイル」によって組織や部門の取り組みにどのような価値をもたらすかを、プロジェクトメンバー以外の人が理解できるようにします。
CDPを選定する。質問のポイントとは?
CDP選定の際、どのように適切なCDPを選択するのでしょうか?そして、CDPの候補リストを作成すべきでしょうか?
“正しい”質問をしましょう
ベンダーにCDPに関する質問をしてみましょう。
- CDPはどのようなデータソースと連携することができますか? それらの連携をどのように維持していますか?確実に必要な連携先をリストアップしましょう。必要だと認識していても、現在のプログラムで活用できていないものも含めてください。また、まだ実際の連携がされておらず、連携を計画しているデータソースも含めてリストを作成しましょう。
- CDPは、デバイスを跨いで匿名の訪問者と既知の顧客の両方を追跡できますか? ウェブとモバイルでは、どちらもトラッキングが可能です。候補とするCDPが、イベントデータを収集し、アイデンティティベース(電子メール、ユーザー名など)およびクッキーベース(ブラウザクッキー、IDFAなど)のトラッキングが可能なウェブおよびモバイルのSDKを提供しているか確認しましょう。
- CDPはどのようにプライバシー保護とコンプライアンスをサポートしますか? 候補とするCDPは同意管理システム(CMP)との連携は可能ですか連携しているツールは何か、データ開示要求に対してはどのように対応可能かを確認しましょう。
- CDPのデータ保持期間は? 長期にわたって顧客を理解し、顧客エンゲージメントを向上させるためには無制限のデータ保持を求められます。
- 顧客セグメントを作成するためのツールは、直感的で使いやすいものですか? 候補とするCDPは、データサイエンティストやIT担当者でなくても、セグメントを簡単に定義、管理することができるか確認しましょう。
- フィルタリングされていないローデータにアクセスできますか? 顧客をより深く理解するために、ローデータを深く掘り下げる必要がある場合があります。ローデータまで遡って初めて、どのような顧客データなのかわかるということは少なくありません。
- CDPは、人工知能(AI)や機械学習(ML)のエンジンを搭載していますか? AIやMLを用いたセグメンテーションに、自分が理解しやすい形でアクセスできるか確認しましょう。
- CDPはどのようなセキュリティを提供していますか? 顧客の個人情報を扱うため、その情報の安全性を確保するためにベンダーがどのようなセキュリティプロトコルを持っているかを知る必要があります。
- トレーニング、プロフェッショナルサービス、サポートを提供していますか? CDPの実際の使用方法を学ぶためにどのようなトレーニングプログラムを提供しているか、カスタムワークのためのプロフェッショナルサービスが利用できるかどうか、そしてCDPが導入された後にどのような学習およびサポートチャネルが利用できるかをベンダーに尋ねましょう。
CDP導入時のよくある落とし穴
CDPを選択して導入する際に直面する可能性のある一般的な落とし穴を簡単に見てみましょう。これらの落とし穴を理解することで、回避できる可能性が高くなります。
自社に合ったCDPを選ぶことができない
実に様々な種類のCDPが存在するため、選択する前に要件を理解することが重要です。一番の落とし穴は、本当はエンタープライズソリューションが必要なのに、中小企業向け(SMB向け)ソリューションを選択してしまうことです。膨大なデータ量を持つ大手企業にとっては、CDPの拡張性が非常に重要な要素となりますが、拡張性に乏しいCDPも存在します。さらに、エンタープライズソリューションでは、一般的により高いセキュリティと権限管理機能が提供されています。
使用する予定のデータソースと目指すユースケースを決めていない
データソース、主な連携機能、CDPで実現する必要のあるユースケースの種類を決めることが重要です。データソースとユースケースは、CDPが収集・保管および処理する必要のあるデータ量の目安となり、必要なCDPのタイプを示す指標となります。すなわち、どんなデータで何を実現したいのかを決めるというのが、CDP選定において大事なポイントになります。
経営陣のサポートが得られない
CDPは本質的に部門横断的なプロジェクトを行うためのソリューションであり、関係するあらゆる部門の理解、賛同、協力を得て初めてプロジェクトが前進します。そのために経営陣のサポートが必ず必要です。
一度にすべてを解決しようとする
“boil the ocean(過剰に無意味なことをする)”という言葉を聞いたことがあると思います。一度にすべてのことをやろうとしても、うまくいくことはほとんどありません。CDPの導入は段階的に行うのがベストです。主なデータソースからデータを連携し、それを統合した後は、実現したい最初のユースケースにパワーを集中します。準備ができたら、外部データを追加してプロファイルを充実させたり、別のユースケースを追加していきます。重要なことは、期待通りにCDPが機能しているかどうかを確認しながらじっくりと進めること。そうすることで、最初のユースケースでも効果が得られるものです。
CDPはCRMやDMPとは違う
CDPはDMPではなく、CRMでもありません。あなたが実現したいことによっては、統合された顧客プロファイルを管理するCDPではなく、広告のターゲティングを向上させるDMPが適している場合もあります。また、販売サイクルを通じて顧客を管理するソリューション(CRM)がフィットしているかもしれません。意思決定をする前に、自分たちが何を求めているのかを徹底的に理解することが大切です。
顧客を全方位から把握する「顧客プロファイル」作成への次のステップ
CDPは、顧客を深く理解し、顧客体験を向上させ、効果的かつ効率的なオペレーションを維持したいと考えるあらゆる組織に優れた価値を提供します。CDPは、すべてのシステムやデータソースに散在する顧客データを統合管理し、顧客を全方位から捉えることができます。この顧客を全方位から把握する「顧客プロファイル」により、顧客の分析が容易になり、重要なセグメントを特定して、一人ひとりの顧客にパーソナライズされた、一貫性のあるコミュニケーションを実現できるようになります。
そのためには、まず自社の目標やユースケースを理解し、そのユースケースを実現することのできる適切なCDPを選択することから始まります。次に、データソースを連携し、顧客プロファイルを統合します。さらに外部データも連携させることでプロファイルを充実させ、特定のセグメントを作成して、マーケティングプログラムや営業活動、カスタマーサポートプログラムなどにセグメントを連携し、顧客とのコミュニケーションを実施します。
これで準備は整いました!ご不明点やお困りごとがあればお気軽にトレジャーデータまでご連絡ください。より詳しい事例のご紹介やデモをご希望の方もどうぞお問い合わせください。
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ありがとうございました。
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