CDPとDMPの違いとは
~カスタマーデータプラットフォーム(CDP)の特徴とは~
CDPとは?
CDPの定義
CDPとは、カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)の略称で、自社が持つ顧客データを、収集・統合するためのデータ基盤です。組織全体にある複数のチャネルから、顧客データを1つのデータベースに収集・保管し、データを統合します。
CDPの特徴
住所、氏名、電子メールアドレス、電話番号などの「個人情報」を格納し、既存顧客情報と匿名情報の双方と連携します。「匿名性」を特徴とするDMPと最も異なる点です。CDPは柔軟なデータストレージを保有し、広告システムとの統合も可能。高度なIDマッチングにより、Cookieをはじめ匿名の3rd partyデータと、自社の1stpartyデータを組み合わせたデータ活用が可能です。
CDPのメリット/デメリット
CDPのメリット
- 顧客データを統合しカスタマージャーニーを可視化できる
- 顧客行動を精緻に分析、より深いインサイトを導ける
- 顧客一人ひとりに合ったマーケティングと体験の向上
- 部門を横断した情報共有、データ活用
- 高速のPDCAをセキュアな環境でできる
CDPのデメリット
- 個人情報漏えいのリスクがある
- 立ち上げに時間がかかる
- 高機能なため使いこなしきれない可能性がある
DMPとは?
DMPの定義
データマネジメントプラットフォーム(DMP)の略称で、多くの場合「パブリックDMP」または「プライベートDMP」のいずれかを指します。「パブリックDMP」は、広告配信を最適化するための、大量の匿名の顧客情報を集約したデータ基盤のことです。
一方で、自社のあらゆる顧客データを蓄積するデータ基盤は、上記のパブリックDMPに対して「プライベートDMP」と呼ばれています。2017年頃から「プライベートDMP」をCDPと呼ぶようになりました。このページは「CDP」と「パブリックDMP」の違いについて解説します(以降DMP=パブリックDMP)。CDPとパブリックDMPの違いについて、具体的なケースを用いて図解した資料も、あわせてご覧ください。
DMPの特徴
CDPが自社で収集した個人情報(1st partyデータ)を扱うのに対し、DMPは主に匿名の3rd partyデータの活用に重点を置いた基盤です。さまざまな企業が保有する、不特定多数のWebアクセス履歴や、属性情報を共有することで、自社と直接接点のない顧客の行動データ、属性データを、マーケティングに活用できます。
DMPのメリット/デメリット
DMPのメリット
- 広範な情報をもとに広告ターゲティングの精度を向上できる
- 時間が経つほどターゲティングの正確さが増す
- 消費者の行動を類推してCDPの自社データを補完できる
DMPのデメリット
- 不特定多数の匿名データにとどまり、個人を識別する情報を保管できない
- 競合も含む他社も同じ情報を取得できるため施策の差別化ができない
CDPとDMPの違い比較リスト
分析の単位
CDP:個人単位
DMP:属性単位
ユースケース
CDP:すべてのマーケティング:CRM・アドテクノロジー・ツール、MAなどあらゆる施策ツールと連携可能
DMP:広告特化:広告のより適切なターゲティング・メディアバイイングの効率化
データの種類
CDP:主に1st partyデータ
DMP:匿名化されたデータによる3rd partyデータ
プロファイル識別
CDP:顧客属性(顧客ID、名前、電子メール、住所など)
DMP:主に匿名のデジタル識別子(Cookie ID、IDFAなど)
データの保存
CDP:顧客のライフタイムを超えて分析を有効にするために、制限なし
DMP:広告ターゲティング用途であるため、保持期間は3ヶ月〜半年など比較的短期
プライバシー
CDP:個人情報を含むため厳格に管理
DMP:個人を特定しないデータ使用
CDPが注目される背景
顧客との接点が多様化している
企業と顧客のタッチポイントは、Web広告、ソーシャルメディア、Webサイト、レビューサイト、クーポンアプリ、検索、実店舗への訪問、オンラインでの購入と、多様化する一方です。そして、デジタル化が進んだことで、店舗やイベントなど、リアルのタッチポイントでもデータを取得できるようになり、企業が保有し活用するデータは大幅に増加しました。
CDPは長期間に渡るデータを管理し、オンライン/オフラインの垣根を越えて、複雑なタッチポイントのデータを、ひとつのIDで管理します。実店舗に来店し購買した顧客が、その前にオンラインストアで何を買ったか。来店の前にオンライン上でどんなメディアと接触したか、最終的な来店や購買の動機になったのはどのメディアか。ひとつなぎのカスタマージャーニーを可視化して、マーケティングをはじめとする施策に活かすことができるのです。
One to Oneのコミュニケーションの必要性
個人単位のカスタマージャーニーを理解することで、コンバージョンや購買などの目標に対して、どのチャネルが貢献したか、正確なアトリビューションモデルの作成が可能です。例えば、特定の製品ページを訪れた人は、新製品の告知メールよりも、クーポンメールを開く可能性が高い、といったデータが把握できます。すると、顧客に応じて適切なメールを送信して、マーケティングの効率を上げることができるのです。
また、商品の配送が遅れている顧客には、通常のプロモーションではなく問題解決に役立つフォローアップメールを送る、といったきめ細かな対応もやりやすくなります。チャネル、部門を横断した情報共有により、「対応部門が変わるたびに顧客が同じ会話を繰り返す」というわずらわしさを解消するなど、顧客体験の向上につなげられるのも、CDP導入のメリットです。
DMPには基本的に1st partyデータを格納することができず、Cookie、デバイス、IPアドレスなどの匿名情報に限って使用できます。匿名性は、個人のプライバシーを侵害することなく、オーディエンスに関する情報を交換する手段として不可欠なものです。 一部のDMPは個人識別子も格納可能ですが、CDPに組み込まれた高度なIDマッチングには敵いません。
DMPではなくCDPを導入する5つの理由
1. PII(個人を特定できる情報)を含む1st partyデータを保存できる
ユースケース:顧客IDマッチング
CDP
CDPでは匿名および個人情報(個人の顧客名、郵便番号、電子メール、電話番号など)を含む1st party、2nd partyおよび3rd partyのデータをすべて格納します。 CDPは広告システムと統合され、Cookie IDなどのDMPが持つ情報をオーディエンスタグとともに扱うことができます。
DMP
DMPには基本的に1st partyデータを格納することができず、Cookie、デバイス、IPアドレスなどの匿名情報に限って使用できます。匿名性は、個人のプライバシーを侵害することなく、オーディエンスに関する情報を交換する手段として不可欠なものです。 一部のDMPは個人識別子も格納可能ですが、CDPに組み込まれた高度なIDマッチングには敵いません。
2. 多様な保有データを単一の基盤で管理できる
ユースケース:データ統合
CDP
CDPデータは単一のスケーラブルな場所に保存されるため、一度にすべてのデータを読み込んで迅速かつ柔軟に分析することが可能です。
DMP
DMPには2つの異なるデータストアがあります。1つはすべてのデータ用、もう1つはデータのサブセットを非常に高速に使用するためのものですが、別々に存在しています。
3. 無制限のストレージ容量を備えた生データへアクセスできる
ユースケース:より深い分析
CDP
CDPは生データをきめ細かなレベルで保持し、この履歴情報を無制限の容量で保存することが可能です。データは長期保存用として永続的に収集され、複数のデータフォーマットがサポートされています。
DMP
DMPは、タグ、API、アップロードなどの一般的なトランザクションデータを収集します。そのデータは集計された結果にとどまります。多くのDMPは90日未満などの特定の期間のみ情報を保持します。
4. マーケティングテクノロジースタック全体に適用できる
ユースケース:広告以外の用途
CDP
CDPは、ユーザーのために必要なありとあらゆるデータを収集し、またそのデータを施策で活用するために豊富な連携先を用意しています。例えば、1st partyデータのセグメントをMeta(Facebook)に連携し、類似モデリング(Look a Like)や、より効果的なリターゲティング、カスタマージャーニーを描くことができます。
DMP
DMPは、広告ターゲットの最適化・あるいは新規および見込み顧客へのアプローチのために設計されています。 DMPはディスプレイ広告のターゲティングを強化するために、あらかじめ作成された匿名のオーディエンスを持つCookieプールと考えることができます。 DMPではビジネスや施策の差別化を図ることはできません。DMPは本質的にそのためのソリューションではなく、顧客データの補完にフォーカスされています。
5. 完全な顧客プロファイルを把握できる
ユースケース:パーソナライズされた顧客体験の提供
CDP
CDPにより、時間軸や文脈、また、デモグラフィックや、行動の観点から、人に関するすべての情報を手にすることができます。これにより、パーソナライズした形で、コミュニケーションやブランドインタラクションを行うことができます。すべてのチャネルとセッションから顧客情報を収集することでユーザープロファイルが明らかになり、パーソナライゼーションのための新たな視点得られるでしょう。
DMP
DMPのユーザープロファイルは、基本的にユーザーのリストです。ユーザーが属する定義されたカテゴリ/サブカテゴリに分けられています。DMPは、デモグラフィック、匿名のCookie IDに基づいて一時的なプロファイルを作成します。匿名ユーザーをさかのぼって個人を特定しうるIDに変換することは、第三者データの共有に関連する法律で禁じられています。そのため、永続的なユーザープロファイルを作成したり、匿名ユーザーを既存の顧客IDに紐付けたりすることはできません。また、DMP内のロジックは、明らかにされないのが通常です。
CDPとは1st Partyデータ活用基盤
CDPとは、顧客一人ひとりの属性データや行動データを収集・蓄積・統合するためのデータプラットフォームです。実在する個人がデータを統合するためのキーとなり、「メールアドレス」「基幹DBの会員ID」「氏名」「生年月日」「住所」など、個人情報にあたるセンシティブな情報を取り扱います。その点で、Web訪問履歴を代表とするログデータ活用が中心のDMPよりも、顧客理解、マーケティングコミュニケーションの面で優位性があると言えます。CDPを活用するということは、企業が顧客を正確に理解し、一人ひとりに適切なコミュニケーションの実現を目指すということです。
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