企業は顧客データ戦略にどう取り組んでいるか?顧客データの成熟度モデルからの考察
あらゆる規模の企業が、デジタルチャネル活用と顧客データ管理に注力しています。多くの場合、これらの企業はマーケティング目的で顧客データに注力しており、目に見える形でビジネスを成長させています。しかし、使用するテクノロジーツールの数が増え、ツールの機能が向上し範囲が包括的になるにつれ、どこに改善の余地があるのかを評価することが難しくなっています。トレジャーデータは、米国とヨーロッパのマーケティングおよびIT担当者約500人を対象に、さまざまな業界において形成されてきた顧客データの成熟度曲線について調査を行いました。
端的に言うと、この調査はデータを活用する企業と活用していない企業について解説しています。顧客データ成熟度が高い企業は企業目標やKPIを達成している一方、そうでない企業はデータ戦略がなく、顧客データ成熟度が低いステージにあります。この調査結果は、顧客データの成熟度が、企業が採用したテクノロジーだけでなく、データツールを最大限活用するために展開した戦略にも依存することを示しています。
顧客データ成熟度曲線における4つのステージ
調査対象となったマーケティングおよびIT担当者から、共通する4つの成熟段階が浮かび上がり、顧客データの成熟度モデルが誕生しました。
この調査では、回答者の60%以上が、自社の顧客データの成熟度を リーディング フェーズ(40%)、ビジョナリーフェーズ(21%)のいずれかであると評価しています。また、10%が スタートフェーズ、28%が発展途上フェーズで、まだ初期段階であると回答した企業も少なくありませんでした。全体として、明確な顧客データ戦略を持っているのは調査対象企業の約半数(47%)に過ぎないという結果が示されました。
顧客データ戦略の鍵となる要素
顧客データプラットフォームを利用している78%の企業は、効率性の向上(64%)、ビジネスの成長(57%)、実用的な洞察(44%)、リスク削減(41%)、コスト削減(32%)など、さまざまな方法で顧客データプラットフォームの利用によるビジネス上の利益を実感しています。このようなメリットを最大限に引き出すためには、データ管理、セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンス、人材に関する詳細な顧客データ戦略が求められます。
次に進むべき方向
データは、アクティベーション、キャンペーン管理、ジャーニー最適化(53%)、セグメンテーション(49%)に使用されています。例えば、調査対象者のうち、予測分析に人工知能(AI)や機械学習を活用していると回答したのは41%です。
データ戦略に対し、テクノロジーが追いついていない
マーケティング部門で、AIや機械学習の活用が不十分であることに止まらず、回答者の3分の2近く(64%)は、顧客データを統合基盤に引き込むことができていません。それは、カスタマージャーニーの理解に取り組んでいる企業が、データのサイロ化に依然として手をこまねいていることを示唆しています。
この調査が示したもうひとつの興味深い動きは、顧客データへのコミットメントの程度が常に変化しているということです。調査対象企業の半数以上(57%)は、来年、顧客データのインフラを変更することを予定しています。この分野への投資を最大限に活用するためには、企業は洗練された戦略と、すべての顧客データを一元化して集中管理できる最新のテクノロジーとを融合させる必要があります。
顧客データのスマートな活用は、あなたのビジネスに何をもたらし得るでしょうか?顧客データがどのように貴社の収益に貢献できるかを理解し、より収益性の高い顧客データ活用のアイデアを得るには、顧客データ成熟度調査レポート(※英語)をご覧ください。
太田 一樹
Treasure Data, Inc. CEO 兼 共同創業者
2011年に米国シリコンバレーにてトレジャーデータ社を芳川、古橋とともに起業し、最高技術責任者(CTO)に就任。2021年6月より最高経営責任者(CEO)。
世界最大のHadoopユーザーグループである日本のHadoopユーザー会創設に尽力。分散・並列コンピューティングのエキスパートとしても知られる。