CDPの「再発明」:リアルタイム処理とバッチ処理の統合
カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)という概念が登場した当初、それは優れた顧客体験の促進を目的とした斬新なアイデアでした。去る10月24、25日にLas Vegasにて開催された第1回グローバル・サミット「CDP World 2023」は、進化し続けるCDP業界に向けて、CDPの驚異的な成長とイノベーションを披露する場となりました。
本ブログ記事では、CDP World 2023 基調講演でのトレジャーデータの画期的な発表についてより詳しくご紹介します。今回トレジャーデータはバッチCDPとリアルタイムCDPを統合し、先進的なAI機能を単一の使いやすいジャーニーオーケストレーションUIに組み込むことで、CDP業界を再定義するほどの革新的な機能を発表させて頂きました。
CDPの進化
「CDP (Customer Data Platform)」という言葉は、2013年にデビッド・ラーブ(David Raab)氏によって生み出された、顧客体験を向上させる新しいソフトウェアを表現する言葉です。以来、CDPは小売、CPGから自動車、金融、ヘルスケアに至るまで、さまざまな業界の何千もの企業にとって不可欠なツールとなっています。
エクスペリエンス・ギャップ
CDPの導入が進んだこともあり、多くの企業は完璧な「顧客360ビュー」を持っていると考えていますが、消費者の考えは異なっています。トレジャーデータが実施した最新の調査によると、76%のブランドが顧客の全体像を把握していると回答する一方で、わずか25%の消費者がお気に入りのブランドは顧客のことを把握していると答えています。さらに、10人中9人の消費者は、ブランドから自分には関係性の低いコンテンツを受け取っている、と回答しています。このような企業と消費者との認識のズレは、エクスペリエンス・ギャップを埋めることが企業の急務であることを明示しています。
トレジャーデータの革新的な発表
CDP World 2023において、トレジャーデータはCDPの展望を再構築する3つの革新的な発表を行いました。この機能はエクスペリエンス・ギャップを埋めるのに役立てられます:
- Real-Time 2.0 CDP: トレジャーデータは、バッチ処理とリアルタイム処理の長所を併せ持つReal-Time 2.0 CDPを発表しました。Real-Time 2.0 CDP のIDスティッチング、トリガー、パーソナライゼーション機能をミリ秒レベルのレスポンスタイムで提供し、スピードの速い消費者行動に対応することを可能にします。
- 人工知能(AI): トレジャーデータはCDPにAI機能を追加し、20以上の事前構築済み機械学習モデルとGenerative AI Copilotを搭載しました。AIは、顧客エンゲージメントを自動化・最適化することで、ビジネスを強化します。
- 統合されたジャーニーオーケストレーションUI: トレジャーデータのジャーニーオーケストレーションUIは、バッチCDP、リアルタイムCDP、AI機能を単一の直感的なインターフェースにシームレスに統合しました。この統一されたアプローチにより、バッチ処理とリアルタイム処理のどちらかを選択する必要がなくなり、利便性が向上します。
Real-Time 2.0 CDP
Real-Time 2.0 CDPは、顧客データ処理における大きな飛躍となります。消費者の購買パターンが瞬時に変化する世界における、パーソナライゼーションの課題に対応します。
Real-Time 2.0 CDPのID統合、トリガー、パーソナライゼーション機能により、企業はイベント発生時に顧客の360度ビューを作成し、ミリ秒単位でトリガーに対応し、すべてのチャネルで高度にパーソナライズされた体験を提供することができます。
人工知能(事前構築されたMLモデル、生成AIコパイロット)
AIは転換点を迎えており、トレジャーデータは顧客体験を変革するためにその力を活用しています。企業はNext Best ActionやRFMなどの事前構築済みの機械学習モデルを利用して、顧客の行動を予測し、より良いターゲティングとエンゲージメントを実現することができます。
さらに、生成AIコパイロットは、マーケティング業務を効率化し、チャットのような形式でインサイトを提供することで、AIをより身近なものにすることを可能にします。
バッチ、リアルタイムとAIに対応した統合ジャーニーインターフェース
従来のジャーニー・オーケストレーション・ツールは時代に即しておらず、エンゲージメントはEメールとSMSチャネルに限定されています。トレジャーデータのジャーニーオーケストレーションUIは、ドラッグ&ドロップ可能な単一のインターフェースからオンラインとオフラインを含むすべてのチャネルで顧客体験をオーケストレーションできる機能により、この常識を覆します。
バッチCDP、リアルタイムCDP、AIがこのインターフェイスに統合され、トレジャーデータはCDPエクスペリエンスを統一しました。個別の製品購入の必要性をなくし、顧客エンゲージメントプロセスが簡素化されます。
CDPの未来を今
トレジャーデータがCDP World 2023で発表した内容は、CDPの進化における極めて重要な瞬間です。バッチCDPとリアルタイムCDPの統合は、高度なAI機能とユーザーフレンドリーなインターフェースとともに、企業と消費者の間のエクスペリエンスギャップを確実に埋めることを可能にします。
CDP業界が進化を続ける中、トレジャーデータは、CDPが顧客と接するすべての部門に不可欠なものとなり、消費者の期待に沿ったコネクテッド・カスタマー・エクスペリエンスを推進する未来を構想し、業界をリードしています。このジャーニーは始まったばかりであり、その可能性は無限です。
これらのイノベーションを11月21日に開催するTreasure Data Connected World でご紹介します。ご登録はこちらから。
太田 一樹
Treasure Data, Inc. CEO 兼 共同創業者
2011年に米国シリコンバレーにてトレジャーデータ社を芳川、古橋とともに起業し、最高技術責任者(CTO)に就任。2021年6月より最高経営責任者(CEO)。
世界最大のHadoopユーザーグループである日本のHadoopユーザー会創設に尽力。分散・並列コンピューティングのエキスパートとしても知られる。