昨今のプライバシーへの関心の高まりや、個人情報保護法改正の動きを受けて、弊社へいわゆる「フィンガープリント技術」に関するお問い合わせを多く頂戴しております。そうした状況を踏まえて、弊社の見解をここに公表させていただきます。
1. フィンガープリント技術とは
フィンガープリントはウェブサイトを訪問した消費者が同一人物であることの推定するための技術です。通常あるウェブサイトにアクセスした人物を過去訪問者や自社の別サイト訪問者と同じ人物であると識別するにはCookieが用いられています。フィンガープリントではCookieによらず、ウェブブラウザから取得可能なデータ(IPアドレス、ブラウザのタイプやバージョン、OS等、20種類以上存在)の組み合わせによりウェブサイトを訪問した消費者が同一人物であるとの推定を行います。この技術を用いることで、ウェブブラウザによるCookie利用の制限を受けることなく、消費者の識別を行うことができ、ブラウザトラッキングの精度を上げることができます。
2. フィンガープリント技術に関連した議論
フィンガープリント技術に用いられるデータ単体では、ウェブサイトを訪問した消費者が同一人物であるとの推定は可能ですが、特定の個人を識別することはできないため、個人情報保護法上の個人情報に該当しません。しかしながら、フィンガープリント技術を用いることでプライバシー上の問題が発生しうるのではないかという指摘がされています。
3. 過去の対応
トレジャーデータでは過去米FingerprintJS社が提供しているフィンガープリント機能を呼び出し、その値を取得できる機能及び技術情報を提供しておりました。2019年5月以降、個人情報保護法改正の動向やプライバシーをめぐる社会的議論を鑑みて、新規顧客への当該技術情報の提供を控えるとともに個人情報保護法改正をテーマとしたセミナーを外部専門家と共同で開催する等の対応をしておりましたが、過去に技術情報を提供した顧客に対する通知やフィンガープリント技術をめぐる社会的議論を共有することが十分ではなかったのではないかと認識しております。
4. 今後の対応方針
当社ではカスタマーデータプラットフォーム(CDP)と呼ばれる、データベース基盤のサービス提供を行っております。CDP内に保管されるパーソナルデータは当社の顧客企業が管理・保有するデータであり、広告配信等のマーケティング活動、CRM施策等は各顧客企業の裁量により行われます。
一方で企業のデータ活用をサポートする立場にあるベンダーとして顧客に対しては、外部弁護士等の専門家の意見も参考にフィンガープリント技術に関するプライバシー上の問題点についての情報提供を行い、適切な形でのデータ利活用に関しての啓発活動を積極的に行っていくべきだと認識しており、弁護士の方など外部の専門家を交えた情報交換の機会の提供や勉強会、セミナーの開催等を行い、それらを実践してまいります。