カスタマージャーニーを加速させる5つのデータドリブンテクニック

商品やサービスを購入する際に多くの選択肢が存在することによって、ブランドへのロイヤルティはますます希薄になってきています。この課題に対応するために、ブランドは顧客一人ひとりのカスタマージャーニー全体を通じて、チャネルをまたいだ、シームレスでパーソナライズされた体験(「コネクテッドカスタマーエクスペリエンス」)を生み出そうとしています。具体的には、顧客の行動や嗜好、ニーズに関するデータをカスタマージャーニーの各段階で収集、分析し、そこで得られた情報を活用して、関連性の高いタイムリーなコミュニケーションやコンテンツの提供を行うというものです。

ジャーニーソリューションをカスタマーデータプラットフォーム(CDP)に連携させることで、顧客がブランドとどのような接点や交流を持っているかについて、即座にインサイトを得ることができます。顧客をより理解し、ターゲティングを改善することは、エンゲージメントを高め、見込み顧客の獲得とコミュニケーション、エンゲージメント向上に対してのコストを下げることができます(経営がマーケティングのコストと費用対効果を厳しく見ている現在、マーケターに求められていることでもあります)。

カスタマージャーニー全体でデータを活用しマッピングすることで、いかにしてコネクテッドカスタマーエクスペリエンスを実現できるのでしょうか?本稿では具体的に、顧客データから取得できる価値を最大化するための、5つのデータドリブンテクニックをご紹介します。

1. 正しいデータを収集する

顧客を理解し、購買に至るジャーニーのどの段階にあるのかを把握する上で、正しいデータは不可欠です。しかし、そのデータは複数のチャネルや異なるシステムに散在しているため、ひとつの場所にまとめる必要があります。Webサイト、ソーシャルネットワーク、広告システム、CRM、マーケティングオートメーション、Eコマースなど、主要システムと統合することが可能であるCDPは、顧客データを継続的に集約し、マーケティング戦略に必須な情報源である統合されたプロファイルとして活用することを可能にします。

一方、全てのデータソースの重要度が同じとは限りません。そのため、最も有用な情報を提供するものを優先し、最初に統合プロファイルへ取り込むことが重要です。

加えて、全てのデータが同じ形式ではないことも考慮しなければなりません。各システムがデータを異なる方法で格納および管理しているため、分析のために一箇所にまとめることは困難です。Treasure Data CDPのようなスキーマレスのデータストアは、統合するデータの種類や統合のスピードに柔軟性を持たせています。

2. データを分析し顧客理解を深める

顧客データを一元的に格納したならば、そのデータを分析し、顧客とそのカスタマージャーニーをより深く理解するためのツールが必要です。カスタマージャーニーを分析するメリットとしては、顧客中心主義を強化し、カスタマーエクスペリエンスをリアルタイムで把握できることが挙げられます。人工知能(AI)の一部である機械学習(ML)を活用することで、データの分析と、類似の属性や行動を持つ顧客セグメント作成を迅速に行うことができます。また、特定のアクションやターゲティング要件に基づいてセグメントを作成することに加え、素早く正確にセグメントを見出し構築することが、これらのツールの活用によって可能となります。

リアルタイムでセグメントを作成または更新できることは、常に最新のエンゲージメントやブランドとのやり取りに基づいて顧客をターゲティングできることを意味します。Treasure Data Customer Data CloudのようなCDPは、全ての顧客データに対してセグメントを作成し、リアルタイムに更新することを実現します。

予測分析も重要な機能です。セグメント内のパターンを分析することで、顧客の行動を予測し、関わり方を最適化することができます。

3.パーソナライズされたカスタマージャーニーをつくり出す

セグメントの特定を行ったら、次にそのセグメントの現在のニーズや購買プロセスの段階に合わせてパーソナライズを行ったカスタマージャーニーを作成する必要があります。たとえば、新規ユーザーのセグメントのためにパーソナライズされたカスタマージャーニーを作成するといったことです。もしくは、試用版に登録した人々を有料版へ移行させるためのカスタマージャーニーを開発することもできます。他のセグメントには、リターゲティング、カートの放棄、再購入のためのキャンペーン、オンボーディングトレーニングなどが含まれます。

それぞれのジャーニーは、顧客を購買プロセスに沿って前進させるために設計された、チャネル、メッセージ、コンテンツのユニークな組み合わせです。顧客がコンテンツまたはメッセージに関わりを持ったり、アクションを完了したりすることで、カスタマージャーニーが進みます。特定のイベントやアクションが発生した場合、顧客はジャーニーを継続するか、関係をさらに発展させるために用意された新しいコンテンツやメッセージ、チャネルが提供される、別のカスタマージャーニーのステージに移行することができます。

パーソナライズされたカスタマージャーニーが、マーケティング活動の投資収益率(ROI)と広告の費用対効果(ROAS)を改善します

マーケティング戦略の観点から、パーソナライズされたカスタマージャーニーはROIやROASの改善に役立ちます。マーケターはこれまでのように対象がわからない状態で勘に頼ったマーケティングを行う必要はありません。本当に興味を持っている顧客や見込み客と接点を持ち、交流を深めることができるからです。どのコンテンツやメッセージがどのチャネルで、どの顧客に響くのか。データをより深く理解することで、マーケターはカスタマージャーニーを最適化することができるようになるのです。

4.キャンペーンを追跡し測定する

データからは、マーケティングの方法だけでなく、キャンペーンがどの程度効果を出しているのかも把握できます。キャンペーンのパフォーマンスを追跡、計測し、どの点が機能しているのか、キャンペーンが収益にどのように貢献し、マーケティングの効率を向上させているのかを理解することが欠かせません。

たとえば、Treasure Data Customer Journey Dashboard(図1)は、特定のキャンペーンやジャーニーに関する指標やインサイトを提供します。

Treasure Data Customer Journey Dashboard

キャンペーンに含まれるプロファイル数や、カスタマージャーニーの段階の進行状況を確認できることに加え、カスタマージャーニー全体と各段階の成長率も表示されます。特定のプロファイルをドリルダウンし詳しく調べて属性や行動を把握し、カスタマージャーニーを通してプロファイルを動かすもの、もしくは効果を発揮しないものがなにかについて、深い理解を提供する機能も有しています。

5.必要に応じてキャンペーンを更新・調整する

カスタマージャーニーに基づくマーケティングキャンペーンは、一度作成すれば終わりではありません。マーケターはパフォーマンスデータを詳しく分析し、必要に応じてキャンペーンをリアルタイムで更新または変更する必要があります。キャンペーンから期待通りの結果を得られていない場合は、メッセージングを更新したり、新しいコンテンツを導入したりする必要があるかもしれません。また、ある段階で特定のチャネルがより効果的であることがわかった場合、キャンペーンを調整して、そのチャネルをより効果的に活用できるようにする場合もあるでしょう。

同様に重要なことは、新しいキャンペーンのユースケースや、既存のカスタマージャーニーに追加する段階を、データから特定できることです。データを見直すことで、どのような変更を行い、それをなぜ行う必要があるのか、理解する手助けになります。

データが優れたカスタマージャーニーを推進する

カスタマージャーニーは、マーケターのツールキットにおける重要な要素です。顧客とコミュニケーションを行うにあたって、最適なタイミング、正しい場所、適切なメッセージやコンテンツがどのようなものかを理解することが、カスタマージャーニー構築にとって成功の鍵であり、競争力をもたらすでしょう。データおよび人工知能(AI)や機械学習(ML)などのツールは、適切なセグメンテーションと意思決定を通じて、これらの意志決定を裏付ける存在です。コネクテッドカスタマーエクスペリエンスを構成するカスタマージャーニーを作成し管理するために必要なデータ統合機能とツールが、CDPには実装されています。

より効果的で洗練されたカスタマージャーニーを作成するための情報は、ホワイトペーパー「Customer Journey Orchestration」にて詳細に説明しています(英語)。こちらからダウンロードいただけます。

アンディ・グレメット Andy Gremett
Treasure Data, Inc. Product Marketing Director

20年以上にわたり、エンタープライズ企業に向けたマーケティングデータソリューションを提供し、収益と成長を促進する優れたカスタマーエクスペリエンスを生み出すことに注力してきた。マーケティング、セールス、デジタル化された体験を顧客の声と統合することに情熱を持ち、クライアント企業に効果的なソリューションを提供している。テキサス大学アーリントン校でBBAを取得し、カリフォルニア州セントメアリーズカレッジでMBAを取得。

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